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■--11月14日の記事
++ 山崎久隆 (社長)…1447回          

『電力の体力「絶対必要」エネ庁長官、
 | 原子力運転期間は地域の声踏まえ』
 | 許認可権限のある政府高官が電力会社の代弁者に
 | 業界紙「電気新聞」の11月14日の記事から
 └──── (たんぽぽ舎共同代表)

 電気新聞の冒頭を紹介する。
 見出しは「◆法改正へ結論年内に」

 『経済産業省・資源エネルギー庁の保坂伸長官は11日、電気新聞のイン
タビューに応じ、電力各社が表明している規制料金を含む電気料金
値上げについて「停電させない『ノー・ブラックアウト』が基本形だと
すると、担保するための経営体力は絶対に必要」と述べ、一定の理解を
示した。原子力発電所の運転期間の在り方では、安全対策工事の費用
回収のため「(少なくとも何らかの)猶予があって良い」と話し、
立地地域の意見も考慮しながら審議会で検討を進める方針だ。』

◎電力の体力を奪ったのは原発だ

 震災後、全ての原発が止まっていった。そのとき、日本は政策として
「原発依存から脱却」を掲げた。
 これを決めたのは安倍政権下である。(最新の政府方針は第六次エネ
ルギー計画の中にある「原発依存度の可能な限りの低減」という言葉)

 しかし見かけは「脱却」「低減」などと言いながら、仕掛けていたの
は国民の移り気な性質を見越し、目先の利益ばかりを気にし、いずれは
そんな決定も忘れ去るに違いないと見下した上で、数年程度で原発推進
政策に復帰することだ。
 その視点で見れば、様々な仕掛けを行ったことが見えてくる。自然
エネルギーの普及への妨害などは典型である。

 その間に電力会社が着々と再稼働の準備を進め、規制委も右から左へ
と許可を出し続ければ、いずれは震災前の雰囲気に戻せると甘く考えて
いた。
 しかし現実は、福島第一原発事故の被害はあまりにひどく、帰還困難
区域の解除も進まず、東電の姿勢は被災者への賠償も不十分。責任も
取らない、口だけの「福島の三つの誓い」(1.最後の一人まで賠償
貫徹 2.迅速かつきめ細やかな賠償の徹底 3.和解仲介案の尊重、
東電のHPより)など信じる人はどこにもいない。
.. 2022年11月16日 07:28   No.2621001

++ 山崎久隆 (社長)…1448回       
 原発再稼働も、規制委での新規制基準適合性審査のやりとりが保存
されている動画配信を見ていると、事業者側の放漫な態度、知見の
欠如、管理者の無知無能が随所に見られ、規制委に対して「この辺で
止めてくれよ」と言いたげな態度を示すことさえある。
 そして検査データのねつ造や検査の妨害さえ行った。
 これで再稼働の許可を出していたら、それこそ「規制が事業者の虜」
になるだけであるから、規制委も「許可したくてもできないではない
か」と悲鳴を上げていたように思う。
 司法もいくつもの差止決定、判決を下し、損害賠償請求では東電の
責任など当然のごとく、一部で国の責任も認めた。

 そんな背景で再稼働は進まず、一方で安全対策工事に巨額の費用を
投じ続けて(一部の会社では)社内留保もなくなり、電力危機だと言い
始めるのだから、一言「アホなのか。」としか言いようがない。
 エネルギー危機だ、再稼働できなくて会社が持たないなどという
経営者は即刻辞任すべきである。

◎巨額費用を食い潰す原発

 柏崎刈羽に、少なくても1兆2千億円つぎ込んだ挙げ句、日本原電
東海第二の再稼働支援として電気料金の前払いで2200億円もの資金を
提供する東京電力などは、自ら起こした原発事故で今後13兆円以上の
費用負担が見込まれるというのに、1ワットも電気を生まない原発に
巨費を投資し続けられるのが理解不能だ。
 経営陣にまともな経営判断ができるものはいないのかと問いたい。

 なお、柏崎刈羽も東海第二も工事は続いているので、東電の電気料金
にはそれらの負担も含まれている。
 それにエネルギーコストの上昇が加わって史上最高額の電気料金に
なろうとしている。それに怒りを感じるのであれば、直ちに原発への
資金投入は止めさせる必要があるのだ。

 他の電力会社も推して知るべしで、自然エネルギーを有効活用できる
はずなのに原発に巨額投資をしてしまい、資金繰りがおぼつかない。
 自然エネルギーは大電力を生む時間帯が限られ、かつ、大消費地に
送らないと規模の効果は出ないのに、送電網が九電力独占体制時代の
ままでは大きな利益を生まないことぐらい、素人目にも分かる。

.. 2022年11月16日 07:34   No.2621002
++ 山崎久隆 (社長)…1449回       
 そうなれば、震災後の10年あまりで何処に投資すべきだったか
明らかだ。
 東西連系だけでなく、日本列島を縦貫する直流送電線を構築する「
国内スーパーグリッド」を実現しておけば良かったのである。
 そうすれば自然エネルギーの長距離活用ができるし、夏冬のひっ迫時
に東西の端から端まで電力の連系ができる。
 原発以外の、今ある設備を最大限活用できるのである。

◎国の責任は重い

 そうした努力は一電力会社では不可能で、資源エネルギー庁こそが
責任を持って普及実現をするべき立場であり、そのためには一時的に
国費を投入、例えば設備投資を国費でおこない、償還は債権化して
一般に売却するなどしても良い。一種の電力債である。
 国は、こうした技術への投資を促進し、電力危機に陥らない政策を
作る立場のはずだ。

 その資源エネルギー庁長官が、何を間違ったか、原発の安全対策工事
の費用回収のために運転期間延長を認めろという。本末転倒とはこの
ことだ。
 自分の職責も果たさないものが、法令を曲げて電力会社のリスクを
国民に転化しようというのである。どの口が語るのかと言いたいくらい
ひどい暴論である。

 さらに問題なのは、許認可権限のある人間が、まだ申請も出ていない
段階で、料金値上げに理解を示すような発言をしている。到底容認でき
ないことだ。
 これだけ事業者とズブズブの関係なのは、電力業界が官僚の有力な
天下り先になっていることも関係しているのだろう。
 資源エネルギー庁長官の発言、決して容認してはならない。国会でも
追及してもらいたい。

.. 2022年11月16日 07:42   No.2621003
++ 田中一郎 (中学生)…40回       
老朽原発運転期間延長は
 | 再びの原発大事故へ向かう直線コース(その1)
 └──── (ちょぼちょぼ市民のゼミナール)

 再びの原発大事故へ向かう直線コース(その1)

 何十年も前に造られた古い原発全体をくまなく点検・検査すること
などできない=形式・体裁を整えて、さも安全審査を厳格にやっている
かのように見せかける原子力「寄生」委員会のペテン…
 田中一郎氏のブログより抜粋
 詳しくはこちらを
こちら

.. 2022年11月16日 07:49   No.2621004
++ 山崎久隆 (社長)…1450回       
原発の運転期間から停止期間を除外したい原発事業者
 | 日本原電と東京電力救済策の色合いが強い
 | 原発事業者の利益のため住民にリスクを負わせる (その1)
 | 圧力容器の脆性破壊を防ぐ手段はない
 | 格納容器の健全性も確認できない
 └──── (たんぽぽ舎共同代表)

 原子力の利用は安全が第一、これは岸田首相から経産省、そして事
業者も皆、口をそろえて唱えるおまじないだ。
 「ではご安全に」原発で入域する作業員に声かけしているこの言葉
と、何ら変わらない。
 裏付けも何も伴わない、空虚なおまじない程度の言葉。日常的な安全
対策教育こそが安全の担保になる。同様に原子力の安全規制も、「安全
が第一」と唱え始めたらいよいよ危険だ。
 そこで老朽炉を動かしてはならない理由を、二回に分けて述べる。

◎安全を確認する方法がない

 原発は一度運転を開始したら1年あまり人は近寄れない。原子炉で
核分裂中は大量の中性子が飛び交い、圧力容器とそれに繋がる配管には
高温高圧の熱水や蒸気が流れるので、「危険とみたら直ぐ止める」訳に
はいかないのだ。
 原子炉スクラムをかけても温度と圧力が共に、人が接近できるまで
下がるのに数日かかる。
 放射線量に至っては、何年経っても人が接近不能な場所はいくらでも
ある。
 結局、「解析・想定・検査」の繰り返しで、1年以上は持つと判定
して動かしているに過ぎない。

 万一、蒸気漏れや冷却水漏れがあったら、直ぐに止めて事なきを得る
ことが可能な(爆発火災の場合はその限りにはあらずだが)火力発電と
は全く異なる。
 「確認」とは、原子力の場合は検査結果に基づく想定に過ぎず、火力
などのように人が計器を持って動いているポンプ、配管、電源系統、
タービン、圧力容器回りチェックして「確認」することとは次元が
異なるのである。

◎圧力容器の脆性破壊(※)を防ぐ手段はない

.. 2022年11月18日 04:51   No.2621005
++ 山崎久隆 (社長)…1451回       
 福島第一原発事故の教訓は、過酷事故が発生したら格納容器を守れな
ければ大量の放射性物質の拡散を止められないことが明らかになった
ことだ。
 いまさらながら、「5重の壁」なるものは存在せず、炉心溶融まで
至る過酷事故では唯一、格納容器だけが放射性物質の拡散を辛うじて
ブロックできる装置だという現実が明らかになった。

 このことは、深刻な問題を明らかにしている。
 格納容器は原発で最も巨大な鋼鉄製構造物であり、全体の健全性を
確認する方法などない。
 原子炉側からはある程度観察可能だが、建屋の側からは何も確認でき
ない。建屋のコンクリートが視野を封じていて見ることさえほとんど
出来ないのである。

 格納容器の健全性は唯一、密封度の検査でのみ確認することになる。
 格納容器の耐圧は、沸騰水型軽水炉で約5気圧、加圧水型軽水炉では
3気圧もない。
 これらは、定期検査時に空気または窒素ガスで圧力をかけ、漏洩率が
一定の値以下であることで確認する。
 加圧してから6〜12時間後に圧力を測定し、低下率が0.5%(沸騰水
型軽水炉)か0.1%(加圧水型軽水炉)を満足することが条件だ。

 ところが、この試験では、設計圧力である最高使用圧力の0.9倍まで
しか加圧しない。
 例えば福島第一原発事故の時のように設計圧力を超える圧力で長時間
維持されたうえ、設計温度138度も大きく超える状態が続いていたと見ら
れることは想定外であり、格納容器の健全性を維持するための条件を
遥かに逸脱していた。

 実際に2号機の格納容器は3.11の地震と津波に被災した段階で原子
炉は止まり、冷却材も供給できていた。
 電源がなくても炉心の蒸気圧で駆動する原子炉隔離時冷却系が動いて
いたため、3基のうち最も状態が良かった。
 しかし3月14日午後1時25分頃になってこれが停止していると判断
され、ベントによる減圧と注水が急がれたが、結局間に合わずメルト
ダウンに至ったとされている。

.. 2022年11月18日 04:58   No.2621006
++ 山崎久隆 (社長)…1452回       
 格納容器の健全性を守ることが唯一、放射性物質の大量放出を防ぐ
手段なのに、その健全性は確認できない。
 設計圧力でも破損しない程度の検査では、全く不十分で、腐食や割れ
がないかを確認できなければ検査にならない。
 しかしそれは原発では不可能である。
 ならば、交換するか、長期間持つような容器にするしかないが、
今さら40年超の原発で出来るわけがない。建て直す以上の費用が
かかってしまう。
 これもまた、老朽原発を動かしてはならない理由である。
                       (その2)に続く

 (※)「圧力容器の脆性破壊」の参考資料あります。
   たんぽぽ舎発行パンフNo83『侵攻する原発の老朽化』
   −原子炉圧力容器の照射脆化を中心に− 井野博満氏講演録
   B5判 28頁 頒価400円


.. 2022年11月18日 05:05   No.2621007
++ 山崎久隆 (社長)…1453回       
運転期間から停止期間を除外したい事業者
 | 日本原電と東電救済策の色合いが強い
| 事業者の利益のため住民にリスクを負わせる(その2)
 | 想定外だった全電源喪失・米国の原発事故の教訓も生きない日本・
 | 規制委は運転延長に際してどれだけ厳しい審査をしたのか
 └────  (たんぽぽ舎共同代表)
  
想定外だったステーション・ブラックアウト(全電源喪失)

 原発は電力がなければメルトダウンを免れない。
 ステーション・ブラックアウト(全電源喪失)という言葉が、福島第一
原発事故の時、盛んに飛び出した。
 電源がないため計器が動かない、今どうなっているのかパラメータも
見えない、温度も圧力も分からない、放射線量さえ計れない。

 福島第一原発事故で事故収束に当たった従業員や下請けの労働者は、
何度も死を覚悟した。その最も大きな理由は、今自分が置かれている
状況が確認できず、何時爆発するかもわからないことだ。

 これらは人が五感で知ることはほとんど出来ない。全ては計器類により
明示されない限り分からない。火力のボイラーならば、近寄って表面の
温度を感じたり、弁が動かなければ手動のハンドルを回したりと、手は
いくらもあるのだが、原発は電力がなければ何もできない。温度や圧力
さえ分からない。
 電動駆動ポンプは動かず、水を入れる手段もほとんどない。
 消防車のわずか10気圧程度のポンプで数十気圧の圧力容器に海水を入れ
ようと試みたが、送った水の100分の4程度しか入っていなかったという。
 ステーション・ブラックアウトは、あらゆる対策、収束手段を作業員
から奪った。
 古い原発は、そうしたリスク対策は極めて脆弱だ。
 むしろ、電源ケーブル自体が導火線になって、火災を拡大させる危険
性さえある。

米国の原発事故の教訓も生きない日本

 1975年3月22日、米国のブランズフェリー原発1号機(沸騰水型軽水炉
116万キロワット)で火災が発生した。この時点では運転開始2年程度で、
新鋭と言って良い原発だった。しかし定期検査の最中にローソクを使って
空気の通りを調べていてケーブルに引火する事故が起きた。
 この火災は、発生から消火まで実に8時間を要した。約1600本以上の
ケーブルが利用不能になった。

 

.. 2022年11月20日 08:23   No.2621008
++ 山崎久隆 (社長)…1454回       
 事故以前にNRCは火災を起こした原発の設計基準において緊急炉心
冷却システム(ECCS)の多重防護を求めていた。
 制御系のケーブルは近くに配線されていると、火災の発生で延焼して
しまい多重防護が破綻してしまうという技術的知見が欠落していたことが
明らかになった。

 同時代では、日本でも1972年に千日デパート火災(大阪市・死者118名)、
北陸トンネル火災(敦賀市・死者30名)などの重大事故が起きていた。
 そのため、世間では火災防止対策が強化されていったが、原発は深刻に
捉えていなかった。

 1978年11月に運転を開始した東海第二原発は約1400キロメートルのケー
ブルを有するとされるが、運転時には難燃化ではない可燃性のケーブルを
使った。
 既に米国で重大事故が起きていたにもかかわらず、そして、いくら多重
防護の設計をしていても電源ケーブルが同じ位置に敷設されていたら火災
により容易に多重性は失われることを認識していなかった。

 東海第二原発では、安全上重要なケーブルについてどのように対策をし
たのか。
 茨城新聞の2017年7月21日によれば、「安全機能を持つ設備につながる
ケーブルは長さが約400キロあり、約80キロは既に難燃ケーブルを使用。
 残り約320キロのうち新たに約120キロを難燃ケーブルに交換し、残り
約200キロは防火シート工法での対応を想定している」という。
 安全上重要なケーブルでさえ少なくても200キロは燃えるケーブルが
そのまま使われている。

規制委は運転延長に際してどれだけ厳しい審査をしたのか

 日本の原発の内、可燃性ケーブルのまま運転しようとしている原発は、
おそらく東海第二と高浜1、2号機だけだろう。その他の原発のなかでは、
同時代のものは全て廃炉になっているか、審査を受審していない。つまり
再稼働するつもりはないと思われる。
 少なくても福島第一原発事故を再び起こさないというのは、再稼働の
最低条件である。
 この場合、ケーブルに関しては、火災が起きないことを保証しなければ
ならない。

.. 2022年11月20日 08:30   No.2621009
++ 山崎久隆 (社長)…1455回       
 ところが東海第二の対策は、可燃性ケーブルのままトレイに敷設し、
全体を難燃シートで巻くというのだ。
 火災を防ぐのではなく、他の火災から延焼しない対策でしかない。
ケーブル自体が発火してしまえば、シートの中でくすぶり続けることになる。
 これが大電力を流すポンプ動力ケーブルならば、一緒に巻かれている
ケーブルは全部炭化してしまうだろう。

 また、メタクラ(金属筐体の受電設備)、パワーセンター(電源盤)、
遮断機(電力を遮断する装置)などが発火した場合、ケーブルが導火線に
なる危険性も無くなっていない。
 2011年の東日本大震災では、同じく可燃性ケーブルのままだった女川
原発1号機のタービン建屋にあった遮断機が地震の揺れでアーク放電火
災を起こし、ケーブルにも延焼、並んでいたメタクラが全焼した。
 原発は停止しており、電源は通じていたのでメルトダウンは免れたが、
タービン建屋の電源盤が焼け落ちた。

 大きな地震では、火災が電源装置類の発火から始まることも珍しくない
ことは、2007年の中越沖地震で柏崎刈羽3号機の起動変圧器が発火した。
 この場合はケーブルが延焼することはなかったが、震度6を超える地震
に見舞われれば火災は免れないと思うべきだ。

 しかし規制委は、可燃性ケーブルのままの東海第二と高浜1、2号機の
再稼働と20年の延長を認めてしまった。
 これで「世界一厳しい規制」などと言えるはずがない。


.. 2022年11月20日 08:37   No.2621010


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