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沈思実行(121) シェルターよりも無防備都市宣言を 「沖縄でシェルターにはいれ」は沖縄戦(ガマ=洞くつ)の 集団死を想起 鎌田 慧
◎ロシアのウクライナ侵略による悲惨な映像を、毎日、茶の間で眺めて いる。それにつれて防衛予算の増大やミサイル配置の拡大などの ニュースが、当たり前のような顔をして流されている。 「台湾有事は日本有事」。日本が危ない。安倍元首相が残した恫喝、 である。 かつてソ連が健在だった頃、北海道防衛論が盛んだった。ソ連軍が 北海道に上陸したとき、どう防衛するのか。月刊誌や週刊誌が特集を 組んだ。自衛隊指揮官たちが「図上作戦」をやっているのをわたしは 取材で眺めていたことがある。
◎いま、沖縄・先島諸島の大きな地図を取り囲んで、自衛隊の幹部たち が、指揮棒を振るって「図上作戦」に熱中しているのだろうか。 台湾で戦争が起これば、沖縄も戦場になる。この政府の宣伝が沖縄の ひとたちに、ついこの間の戦争の記憶を、恐怖とともに想起させている。 岸田内閣は2023年の概算予算に「避難シェルター」設置を計上した。 これにたいして、中山義孝石垣市長は「検討ありがたい」と早速歓迎 のコメントをだした。 「八重山市長会会長を務める中山市長は、シェルター整備を県側に 求めていた。政府から正式な連絡はないとした上で、『有事の住民避難 は時間がかかると認識しており、安全を守る方法の一つとしてシェル ターというのは「あり」だと思っている』(沖縄タイムス9月16日)」。
◎ウクライナのシェルターで暮らしている人びとの、不安な表情をみる までもなく、沖縄の人びとは聖地「ガマ(洞窟)」で暮らし、集団死を 強要された。 4人にひとりが戦死・戦病死した。その記憶が覚めないうちに、また 避難を強制させられようとしている。 政府の「戦争に備えろ」「シェルターにはいれ」との強要は、沖縄の 歴史の否定であり、憲法違反だ。 戦争にカネを使うのではなく、戦争をさせないための、平和と友好の ためにカネを使うべきだ。
◎沖縄と先島で「ノーモア沖縄戦」の運動がはじまった。 シェルターよりも「無防備都市宣言」。 国葬反対運動のあとは、戦争をさせない、広範な運動だ。
(週刊「新社会」2022年10月26日第
.. 2022年11月05日 09:19 No.2614002
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