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■--「生命があるかも?」の星
++ 島村英紀 (社長)…796回          

 37光年の距離に「超地球型」惑星、
| 生物誕生の原点「水」の存在が学問的な関心に
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その462
 └──── (地球物理学者)

 かつて「地球物理学」といわれていたが「地球惑星科学」に名前を
代える大学が多い。地球をもっと知るためには他の惑星との比較研究を
しなければならない時代なのだ。
 そして、いまでは、水があり温度も地球のようなところでは生物が
生まれることが分かってきている。つまり地球上の生物は、生まれる
べくして生まれたものだということになった。

 だとすれば、この広い宇宙に地球のような惑星があって、そこに水が
あり気温も地球なみならば、地球とは別に生命が生まれたとしても
不思議ではない。はじめは原始的な生物でも、時間がたてば進化して、
やがて高等生物が生まれる可能性がある。地球よりも早く生物が生まれ
ていれば人類よりももっと進化した生物がいても不思議ではない。

 かくて「地球外生命」の存在を否定できなくなった。
 いまの科学の関心は、こういった環境がある惑星を宇宙空間で探す
ことになっている。
 しかし、宇宙で惑星を見つけるのは難しい。宇宙には太陽のような
恒星(こうせい)はあまたある。だが恒星は温度が高すぎて生物は暮ら
せない。けれども恒星の多くが惑星を従えている。

 地球もそうだが、惑星は太陽のように自分で光るわけではない。この
ため望遠鏡で見ることもできない。
 このため恒星が惑星に重力でわずかに振り回される動きを観測したり、
惑星が恒星の前を横切るときにごくわずか恒星の明るさが減ることを
観測したり、という間接的な手法で惑星がようやく見つかる。

 最近、新しい手法が加わった。高精度の赤外線分光器である。惑星は
赤外線ではよく見える。
 この赤外線分光器は、たとえば米国・ハワイのマウナケア山頂にある
日本の「すばる望遠鏡」にも搭載している。2019年に始まったすばる
望遠鏡の観測では最初の2年間で50個以上の恒星が調べられた。
 
.. 2022年09月30日 06:17   No.2583001

++ 島村英紀 (社長)…797回       
 そもそも宇宙には水が多い。ただし氷だったり、水酸化物として岩の
中に含まれているものが多い。彗星(すいせい)はほとんど氷だ。
 いまの学問的な関心は、惑星で水が水として存在するかどうか
どうかだ。
 専門用語では「ハビタブルゾーン」にあるかないかということだ。
 これによって生物が生まれるかどうかが決まる。

 いま見つかっているのは「ロス508b」だ。この惑星は恒星からの距離
がちょうどよく、ハビタブルゾーンを横切るようになっている。ほかに
いくつも見つかっている。
 508bはこれはへび座の頭部の方向、地球から約37光年の距離にある。
太陽の5分の1の重さの恒星「ロス508」のまわりを約11日の周期で
回っている。
 「ロス508b」は、重さが地球の4倍以上あり、地球のような岩石惑星
である可能性が高い「超地球型」惑星だ。
 この惑星は、今後惑星大気の分子や原子の観測、より巨大な望遠鏡に
よる生命探査など詳しい研究が行われる。
 米国はかねてから本気だ。人類を描いたペナントを50年前から各方面
に送っていた。
 未知の惑星に住む高等生物と交信する試みは、すでに始まっているの
である。

 (島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 9月23日の記事)

.. 2022年09月30日 06:22   No.2583002
++ 島村英紀 (社長)…798回       
日本で起きる地震の「きょうだい」台湾で9月に2回発生
| 日本で恐れられている「南海トラフ」と同じような地震が
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その463
 └──── (地球物理学者)

 台湾南東・台東県で9月17日夜から18日午後にかけて最大震度6強の
大きな地震が2回発生した。
 台湾の中央気象局(気象庁)によるとマグニチュード(M)は6.9と6.4。
地下7キロを震源にして起きた。2回目の地震が本震だという。

 同県や隣接した花蓮県などで、鉄道の橋が落ち、停車中の列車が大きく
傾き、駅舎が倒壊した。道路も損壊し、人や自動車が転落したと見られ、
救助活動が行われている。
 このほか、中層階のビルが倒壊する被害が出ていて、当局が捜索や救出
活動を続けている。最初の報道では1人が死亡、79人の負傷者が確認された。

 台湾に地震は多い。台湾中部では1999年の集集地震(M7.3)で死者行方
不明者2500人を超える犠牲者を生んだ。
 2018年にも大地震が起きた。台湾東部の花蓮市では4棟の十数階建ての
高層ビルが大きく傾いた。死者17名、負傷者は280名を超えた。
 このほか2016年に台湾南部でM6.4の地震で100人以上が死亡している。
いずれも浅い地震だ。

 じつは、台湾で起きている地震は、日本で起きる地震のきょうだいで
ある。日本と同じフィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込む
ことによってひずみが溜まっていき、やがて起きる海溝型地震だ。
 その意味では、日本で発生が恐れられている南海トラフ地震と同じよう
な地震が台湾でも起きているのである。

 台湾で使われている震度階は日本と同じものだ。これは戦前の植民地
時代に日本式のものを導入したからだ。
 台湾中部では1999年の集集地震で死者行方不明者が多数に上るなど大
きな被害が出た。この地震のあと、それまでは震度6までしかなかった
震度階に7を足した。

.. 2022年10月09日 08:27   No.2583003
++ 島村英紀 (社長)…799回       
 日本は大被害を生んだ福井地震後の1949年に震度7を加えた。
 しかし実際に適用されたのは1995年の阪神淡路大震災である。
 以後、熊本地震(2016年)や北海道胆振(いぶり)東部地震(2018年)
などで震度7を記録している。
 9月の台湾の地震は震度6強だった。鉄道や道路の被害が目立ったが、
そのほかに中層階のビルが倒壊して人が閉じこめられた。

 集集地震のあと、つまりこの20年ほどは台湾では建築基準が強化された。
だが、今回倒れたマンションはその強化の前に作られたものだった。
 1999年の集集地震のあと、台湾では耐震基準を引き上げた。
 しかし、それ以前に建てられたビルは地震に弱いままだ。
 その後の地震で倒壊してしまったビルはいずれも耐震基準の引き上げ
前に建てられたものだった。

 しかも、台湾にも日本にも、ビル建築時の「手抜き」がある。地震で
壊れて、はじめてわかる。
 大地震が起きてから建築基準法が強化されたのは日本も台湾と同じで
ある。日本は1995年の阪神淡路大震災で耐震基準を強化した。
 だが、それ以前の建物が多く残っていることは台湾と同じだ。手抜き
もある。
 阪神淡路大震災でビルが多数倒れたのはひとつの例だ。
 日本にとって台湾の地震はひとごとではない。

(島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 9月30日の記事)

.. 2022年10月09日 08:33   No.2583004
++ 島村英紀 (社長)…800回       
人工降雨は効きすぎ?中国やロシアで盛んも
| 場所によっては降水量が平年の2倍、
| 洪水や土砂災害の危険性高まる
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その464
 └──── (地球物理学者)

 中国南部では、渇水で7月からダムの水位が下がって水力発電が行え
なくなり、電力不足に悩まされていた。四川省のトヨタの工場が操業を
停止したほか、同省の東隣の工業都市、重慶にあるホンダの工場も閉鎖
されるなど被害は日系のメーカーにも及んでいた。
 中国の南部で続いている猛暑と少雨はこれまでで最長になった。2022
年の中国の熱波は60年以上前に記録が開始されて以来、最悪のものだ。

 「人工降雨」というものがある。昔から地球物理学者の夢だった。
 人工降雨は20世紀から各地で行われるようになった。中国やロシアで
盛んに行われている。
 人工降雨は雲の中に氷の粒を作るために強制的に雪片を作る物質「
シーディング物質」を散布する。
 雨を降らせるには雲の中に氷の粒を作る必要がある。その氷を作るの
は空気中に浮かぶ微小な粒子で、自然状態では海の波が飛沫で吹き上げ
られた塩が核になる。このほか陸上で生じた砂塵などの粒子も核になる。

 人工降雨はある程度発達した雨雲があるときだけ成功する。雲のない
ときに雨雲を作って雨を降らせるのは不可能だ。雲を見つけて、その中
にシーディング物質をまくのが成否を決める。
 人工降雨の材料はドライアイスやヨウ化銀を使うのが一般的だ。なか
でもヨウ化銀は結晶格子が六方晶形なので氷や雪の結晶に似ているから
雪片を成長させやすい。今回の中国ではヨウ化銀が使われた。

 散布するのは飛行機が多いが、最新式としてはドローンを使う。その
ほかロケットや大砲も打ち上げに使われた。
 中国では2008年の北京五輪の開会式は晴れだった。現地は梅雨どき
だったが、晴れた。
 これは、大きな行事当日の好天を狙って事前に雨を降らせたのだ。
 このためヨウ化銀を載せたロケット1100発余りが市内21カ所から雲に
向かって発射された。
 ロシア(旧ソ連)でも、事前に雨を降らせて行事の当日を好天にした
ことがある。

.. 2022年10月14日 05:08   No.2583005
++ 島村英紀 (社長)…801回       
 今回、中国で投入されたのは巨大な気象制御用のドローンで、人が
乗れるほどの大きさがある。6000平方キロメートルの領域をカバー
できる。
 作戦は2022年8月25日から29日にかけて実施された。この作戦が功を
奏したのだろう、9月28日に干ばつがひどかった四川省と重慶市で待望
の雨が降った。
 だが、人工降雨の難しさも露呈した。
 思わざるほど雨が「降りすぎて」しまったことだ。場所によっては降水
量が平年の2倍にも達した。

 しかも悪いことに、夏の間続いた干ばつの影響で山腹の斜面が固まって
しまっていて水を吸収する能力が下がっていた。このため雨を降らせた
ことで洪水や土砂災害の危険性が高まってしまったのだ。
 他国との関係も出てきた。イランがイスラエルが行った人工降雨を
「雨雲を盗んでいる」と非難したことがある。
 人工降雨も晴れた記念日を作るだけではなくて、いろいろ気を遣わな
ければいけない時代なのだろう。
 夢の技術のはずの人工降雨は、さまざまな問題に直面しているのだ。

(島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 10月7日の記事)

.. 2022年10月14日 05:15   No.2583006
++ 島村英紀 (社長)…802回       
「世界初の「地球防衛」実験に成功 
| 無人探査機を小惑星に体当たりさせて軌道変える」
| 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その465
 └──── (地球物理学者)

米国航空宇宙局(NASA)は9月の末に世界初の「地球防衛」実験に成功
した。
 無人機査機DARTを小惑星「ディモルフォス」に体当たりさせて軌道を
変えた。宇宙空間にある天体の動きを変えた初の実験になる。
ディモルフォスは直径160メートル。地球に脅威を及ぼす恐れはないので、
単なるテストだ。地球からは約1100万キロ離れている。より大きな小惑星
ディディモスの周りを公転する小惑星だ。
この隕石がもし落ちてくると、直径1〜2キロの巨大なクレーターが開く。
大変な衝撃で多数の犠牲者を生みかねない。

たとえば2013年、17メートルの大きさの隕石(いんせき)が西シベ
リア・チェリアビンスクに落ちてきた。隕石はディモルフォスよりずっと
小さい。だが衝撃波で東京都の面積の7倍もの範囲で4000棟以上の建物を
破壊し、重軽傷者1500人を生んだ。

 今回の実験では比較的小さな天体に人工衛星をぶつけたから成功した。
宇宙船の衝突で天体の進路をそらす。この方法は「動力学的衝突体技術」
といわれる。
 しかし、もっと大きい天体、たとえば直径が500メートルを上回る天体
では、宇宙船の重さに制約があるために、この方法は使えない。大きい
隕石こそ地球にとっての脅威となるのに、この方法が使えないのは困る。

 大きな隕石が落ちてきて、世界で跋扈(ばっこ)していた恐竜が6600万
年前に絶滅したことがある。隕石の大きさは10キロメートルほどあった。
それはメキシコ湾に落ちた隕石で、舞い上がった岩石のチリが広く地球を
覆って植物が光合成が出来なくなって環境を激変させてしまった。恐竜だ
けでなく、動植物の75%が絶滅した。マグニチュード(M)10にもなる震動や、
高さ300メートルを超える津波を生んだ。M10の地震とは、過去100年間に
世界で起きたすべての地震が同時に発生した大きさだ。

.. 2022年10月16日 07:09   No.2583007
++ 島村英紀 (社長)…803回       
 大きな隕石が地球に衝突する頻度は、これまで考えられていたよりも
ずっと高いと分かってきている。もし、この種の隕石の落下がまた起きた
ら、人はその落下地点から1000キロ以内では岩石の破片や、火球によって
死んでしまう。
 これを避けるためにいま考えられているのは核爆弾を打ち上げて、小惑
星を別方向に誘導するか、破壊する方法だ。

NASAの論文は他の方法がすべて失敗に終わった最後の手段として核に
よる防衛をあげている。
 1962年に米国がミッドウェー環礁の400キロ上空で核実験した。だが、
2000キロも離れた米国・ハワイでラジオ局は機能不全になり、緊急サイ
レンが鳴り、街灯が消えた。以後、宇宙空間での核爆発は、宇宙条約で
禁止されている。

 直径200メートルの小惑星を爆破するには、広島に投下された原爆の
200倍の威力を持つ必要がある。ミッドウェーの爆発は広島の原爆の500
倍の威力だった。

核爆弾を使うときに最も効果的なのは、その天体にドリルで穴を開け、
爆弾を埋め込んでから爆発させる方法だろうと科学者は指摘している。

 さて、地球を救うために人類は核爆発を使うことになるのだろうか。

 (島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 10月14日の記事)

.. 2022年10月16日 07:15   No.2583008
++ 島村英紀 (社長)…804回       
南海トラフ地震[史上最大]の津波 
 | 和歌山・串本町の橋杭岩周辺に散らばる巨石から分析
 | 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その467
 └──── (地球物理学者)

 宝永地震のものよりも大きな津波が、日本人が知らない過去に紀伊半島
を襲っていたことが分かった。
 宝永地震は1707年、マグニチュード(M)8.6で、日本人が知っている南海
トラフ地震の「先祖」の中でも最大のものだと思われてきた。

 1944年の昭和東南海地震は南海トラフの東側、1946年の昭和南海地震は
西側でそれぞれ地震が発生した。一つ前の1854年の安政地震でも南海トラ
フの東側で地震が発生した後、32時間後に西側で地震が発生した。
 ところが、1707年の宝永地震では南海トラフのほぼ全域にわたって地震
が発生したことが知られていて、ゆえにこの地震が現在知られている最大
の地震だと思われている。しかもマグマ溜まりを刺激して49日後に富士山
が大噴火したことでも知られる。

 この研究では和歌山・串本町の橋杭岩周辺に散らばる巨石がどのように
津波で動いたかを分析した結果、分かったものだ。
 串本町東岸にある南北に直線的に並ぶ巨岩列で知られる橋杭岩は観光名
所としても知られる。そのまわりに巨石が散らばっている。

 大昔、マグマの貫入によって出来た橋杭岩の周辺には、多数の巨岩があ
り、巨岩も同じマグマ由来の岩石からなるので、橋杭岩から分離して周囲
に移動したものだと考えられる。
 巨石は橋杭岩のまわりにある約1100個余で、長さ約0.6〜7メートル。最
も重いものは85トンもあった。
 巨石が移動した時期はこの解析からは分からない。だが、宝永地震以前
に大地震があり、津波の高さは4〜6メートルだったと思われる。この地
震は南海トラフ地震の先祖のひとつだと考えられている。

 この巨石の動きは台風の高潮によるものではない。巨石は毎年の台風の
高潮では動かないことが分かっている。
 また、この地域で観測史上最大級の潮位の上昇があった2012年の台風17
号の前後でも、ほとんどの巨石は動いていなかった。空中写真を比べてみ
ても巨岩の移動は確認できなかった。
 つまり、巨石のほとんどは、かつての大地震の津波で一回だけ動いたこ
とが確かめられた。


.. 2022年11月13日 09:26   No.2583009
++ 島村英紀 (社長)…805回       
 大津波は確かだろう。しかし石垣島などを襲った1771年の津波のように
海底地滑りかもしれない。
 世界各地で、地震が直接発生させるよりも大きな津波が起きたことがあ
る。グリーンランドやニュージーランドで、M4クラスの小地震でも大き
な津波が被害を生んだことがある。

 日本でも2009年に駿河湾で起きた地震(M6.5)のときは、地震断層が起こ
したより倍以上も高い津波が来た。これも海底地滑りが津波を起こしたも
のだった。

 日本人が日本に住みついてからの歴史は、日本をめぐるプレートの歴史
と比べて、はるかに浅い。まして、書き残した歴史はさらに短く、京都や
奈良でも千数百年、東日本や北海道では100〜300年もないことが多い。
 このような大きな地震津波は、日本人が知らないだけで過去数千年以上
にわたって繰り返し発生してきたのだろう。
 (島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 10月28日の記事)

.. 2022年11月13日 09:35   No.2583010


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