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鎌田 慧(ルポライター)
「勝共連合は格別の票数は持っていませんでしたが、組織の若手 メンバーたちの応援ぶりは大変なものでした。数十人の応援部隊が連日 詰めかけ、ポスター貼りから電話戦術などあらゆる選挙活動を滅私奉公 で行うのです。そのうえ、相手候補を倒すために無謀な行動を繰り 返す」(「月刊Hanada」十月号)。 自民党・深谷隆司元通産相の述懐である。 深谷氏は1976年、中選挙区制で鳩山邦夫氏を相手に、ポスター破棄や デマ戦術にさらされ、1030票差で落選した。「政治家との関係は90年代 から薄くなった。カルト集団としての認識が広まったためです」
が、むしろ最近「汚染」は猖獗(しょうけつ)を極め、自民党ばかりか 野党の一部にまで及んでいる。 岸田文雄首相は短兵急な奇襲で「国葬」を決定。「そりゃないよ」と のまっとうな世論を喚起させた。
「週刊文春」(9月1日号)は、旧統一教会の教祖・文鮮明氏の唐津 市と釜山を結ぶ「日韓トンネル」(総工費十兆円?) という虚大な 計画を暴露。 その熊本会議の議長が岸田氏の後援会長との記事を掲載。麻生太郎氏 も首相時代に、このトンネルに合意していた。 「滅私奉公」の宗教活動が日本の政治を歪めてきた。国葬反対の声は ますます拡大している。 「君子は豹変(ひょうへん)する」。 「自民党・内閣葬」への転換こそ、民主主義に則る政策だ。 (9月6日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)
.. 2022年09月07日 06:33 No.2565001
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