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1940年12月21日土曜の午後5時、モーゲンソーの自宅で密会が行われました。出席したのは、モーゲンソー、宋子文、毛邦初将軍、モーゲンソーのフィリップ・ヤング補佐官、そしてシェノールトでした。モーゲンソーは、「中国が必要としているものは何か」と、問題提起をしました。
それに対し、宋子文が毛邦初将軍に応えるように求めましたが、毛将軍は、シェノールトに応えるように促しました。シェノールトは、地図を取り出し、中国にある軍用飛行場の位置と、日本の占領下にある地域を説明し始めました。するとモーゲンソーは、必要な航空機の種類は何かと、尋ねました。
シェノールトの答えは、長距離爆撃機とそれを護衛する戦闘機だったのです。しかし、宋子文が、中国政府としては、戦闘機より爆撃機が必要と考えていますが、シェノールトと宋将軍は反対であると、そう付け加えました。
モーゲンソーは、中国が必要としている爆撃機の種類を、明確にして欲しいと訴え、シェノールトは、ロッキード・ハドソン爆撃機か、ボーイング社のBI7として、「爆弾を満載した時のロッキード・ハドソンの行動半径は、1600キロだが、東京までの距離は中国の基地から1900キロで、東京までは飛べない。しかし、長崎、神戸、大阪の各都市は航続距離の範囲内にある」と、説明しました。
モーゲンソーが、夜間空爆について尋ねると、シェノールトは、「戦闘機は、長距離を飛ぶことができない。護衛することができないなら、夜間攻撃にならざるを得ない」と答えました。このモーゲンソーとシェノールトら密会での具体的なやりとりは、アーノルドの「先制攻撃」に詳しい。参考までに、いくつかの観点を紹介しておきたい。
◎中国国境近くに、「空の要塞」Bが使える軍用飛行場は二つ。ロッキード・ハドソンが使える飛行場は4つある。そのうちのひとつは、1600百メートルの滑走路を有している。
◎爆撃機の基地を防衛するために、130機の追撃機を保有すべき。
◎援蒋ルート「ビルマ・ルート」沿いの物資補給線を維持し、インドシナから攻める日本軍を抑えるには、さらに100機の戦闘機が必要。
◎米軍は、爆撃機の件で中国を支援するため、千ドルの月給なら、十分な人数を現役から除隊させられる。
◎中国は少なくとも100機の戦闘機を必要とする。
.. 2022年08月20日 08:45 No.2551001
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