|
三枝成彰の中高年革命(連載239) 私が国葬に反対する理由 「嘘が通る社会」をつくったのは誰か 「嘘をついても許される」と考える人間ばかりになったら 、 この国はいったいどうなるのか?
安倍元総理は、とても人柄がよかったと聞く。明るく朗らかで、腰も 低く、誰とでも気兼ねなく接した人だったという。彼をよく知る人たち も、直接は知らない人たちも、誰もがその人柄をしのび、悼んでいる。 安倍さんほど、亡くなってからその死を惜しまれた総理経験者は、 まれではないか。見栄えがよく、若々しく、物おじしない態度は サミットなどで外国の指導者たちと並んでも遜色なかった。そんな 彼の姿を見て、誇らしいと感じた人も多かっただろう。 彼に人間的魅力があったことは確かだろうし、得難い人ではあった と思う。
だが、人柄だけですべてを語ることはできない。彼は公人であり、 この国の政治的責任者だった。 有名人が亡くなり、世の中が“追悼”モードになると、日本人はすぐ に人柄と業績をいっしょくたにして、“不都合な真実”はすべて水に 流してしまう。人としての評価と、政治家としての評価は分けるべきだ。 安倍政権をよく言うなら、「憲政史上最長の7年8カ月の在任期間を 誇り、アベノミクスで経済を牽引し、コロナと闘い、東京にオリン ピックを再び呼び込むことに成功した政権」というところか。
だが、結果的に経済は回復せず、給与水準も上がらず、新しい産業 も興らず、個人GDPでも韓国に抜かれた。 政治家としての安倍氏には、罪もある。最大の罪は「嘘が通る社会」 をつくったことだと私は思っている。「モリカケサクラ問題」は消えた わけではない。その影響下で自ら命を断った人もいる。それを忘れては ならない。 「桜を見る会」問題では国会で118回もの虚偽答弁をしながら、捜査は 終結。水に流された。
総理にならってか役人までもが嘘をつき、彼を喜ばすためにいらぬ 忖度をし、文書改ざんや統計の数字をごまかすようになった。最低だ。 この状況を招いたのは格差・能力差を是とする新自由主義思想で あり、責任はそれを信奉して国をミスリードした安倍さんにある。
.. 2022年08月02日 05:47 No.2538004
|