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参院選後、護憲グループは何をなすべきか 武力は使用しない、平和的解決の可能性を示す 孫崎 享
私は今、日本に将来に極めて悲観的である。 10日に投開票される参院選で、おそらく「護憲グループ」は負けるだろう。「護憲グループ」が結束し、自民・公明に対抗するためには、選挙協力す る必要があるが、今選挙では候補者が乱立し、政策で訴える力もない。自 民・公明は参院選に勝利した後、憲法改正の動きを強めるであろう。 ウクライナ問題をひとつの契機として国民は武力行使容認の方向に誘導 されるだろう。 その時、憲法を守るグループは何をなすべきなのか。それは、武力を使 用しないことを主張すると同時に、武力紛争の可能性を持つ国際問題は、 平和的解決の可能性を有している、と説明すべきだろう。
ロシアのウクライナ侵攻を前にして、日本だけが武力を使わないと述べ ても何の説得力もない。 ウクライナ問題では、ロシアを糾弾、制裁するのではなく、和平の可能 性を示すことが不可欠である。実はそれは難しいことではない。なぜなら、 1.NATOをウクライナに拡大しない 2.東部に民族の自決権を与え ることにウクライナが合意すれば、和平実現の可能性が高まるからだ。 それは過去の経緯、国際条理から見て十分可能だ。1990年、ベーカー米 国務長官らが、ゴルバチョフ大統領らに「NATOは東方拡大しない」 と約束した。キッシンジャーや「ソ連封じ込め」を提言したケナンも、 「NATOはウクライナに拡大すべきでない」と主張している。 各地域の住民に民族の自決権を与えることは国連憲章第1条の目的に合 致する。同様に東アジアにおいても、紛争になる可能性のあるところとは 外交的解決で武力紛争を回避できるだろう。
尖閣諸島では田中・周恩来会談の棚上げ(日中が領有権を主張する中で、 日本の管轄権を認める)を守る。漁業協定を守る(国内法の行使は避ける) ことで緊張を回避できる。 北朝鮮に対しては、「日本は北朝鮮の国家、指導者を武力で排除するこ とをしない」とすればいい。その時、北朝鮮が日本を武力攻撃する理由は ほとんどない。 残念ながら、「憲法を守る」というグループは、これら国際問題で平和 的に解決できる道を探求することを怠った。それが参議院選挙の敗北につ ながると思う。 護憲グループよ、
.. 2022年07月10日 08:32 No.2520001
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