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「日本外交と政治の正体」438 アメリカの一極支配が崩れていく 米国CIAの発表:1位 中国23兆ドル、2位 米国19.8兆ドル
孫崎 享
20か国(G20)財務相・中央銀行総裁会議が先週の4月20日、米ワシン トンで閉幕した。議長は輪番で、今回はインドネシアだった。こうした 会合は通常、波風を立てることなく、共同声明を発表してつつがなく 終わる。 しかし、今回は異例の事態が起きた。ロシアのシルアノフ財務相が ビデオで見解を述べた時、米・英・加の財務長官・財務相が退席した。 そして共同声明も出されなかった。
過去、世界の金融を取り仕切ってきたのは米国である。20か国財務 相・中央銀行総裁会議は米国の描いた筋書きで進行してきた。 だが今回は会議の流れに逆らって退席したのは米国である。
米国はこの会議で、対ロシア制裁の強化を図った。 G20の中で、対ロ制裁を行っているのがG7と豪、韓国。他方、制裁 をしていない国はアルゼンチン、トルコ、ブラジル、インド、インド ネシア、サウジアラビア、中国など約半数。 つまり、米国が対ロシア制裁の強化を訴えても多くの国が同調しな かったのだ。
世界は今、経済面で大きい構造的変化が起こっている。米CIAは 自身のサイトで各国比較を行い、その際「真のGDP」と題して、購買 力平価べースでランキングを示しているが、ここから極めて興味深い 事実が浮上してくる。
イ.1位は中国(中国23,0兆ドル、米国19,8兆ドル) ロ.米国はロシアに圧倒的優位(米国19.8兆ドル、ロシア3.9兆ドル) ハ.G7合計は38.8兆ドル、非G7の上位7か国の合計は45.5兆ドル ニ.G7及び非G7の上位7か国の合計における米国の割合は約23.4 %である。
これらのことは、もはや米国が経済で支配的地位を占める時期は 終わったことを示している。 ただ、国際的な制度設計は、過去の実績の上にある。
.. 2022年06月29日 05:42 No.2510001
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