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ウクライナ危機と憲法9条 (下)(了) 軍事力で勝敗はない 軍隊は手段の違法性を正当化 米軍の戦争に巻き込まれるな
弁護士 加藤晋介 ◎軍事力で勝敗はない
その意味で、憲法9条2項の選択は、極めて賢明な選択である。 軍事力で戦争の勝敗は決し得ないことは、ベトナム戦争や、アメリカ が膨大な軍隊と戦費を注ぎ込んでもイラクやアフガニスタンを支配 できず、撤退しかなかった現実からも明らかである。 相手国を軍事的に占領しても、被占領国の国民が納得しない限り、 被占領国の国民のゲリラや反乱、ストライキ等の抵抗に遇い、被占領国 の支配は不可能となる。 そして、被占領国の国民の抵抗で、被占領国民の犠牲が生ずると しても、軍隊同士が戦争するより遙かに少ない犠牲に止まる。 何故なら、大量殺戮兵器が全市民や全国土に向けられることはなく、 個別的犯罪は被占領国のみならず国際的にも可視化され、占領国自体が 国際的にも制裁を受け孤立化するからである。
◎軍隊は手段の違法性を正当化
軍隊の無意味さは、平時においても全く生産に寄与しない膨大な数の 兵士を養い、戦争用に特化した兵器や施設に膨大な税金を注ぎ込むこと からも明らかで、軍事演習等は戦争招来の危険をもたらし、対内的には クーデターや政治不安定化の要因ともなる。 そして、一度戦争が開始されるや、国家の存亡をかけて軍隊が敵を 攻撃する以上、「法の歯止めがきかない」事態が生じる。
ウクライナでのロシア軍の原発攻撃や戦争犯罪がこれを物語っている し、私たち自身、警察は「浅間山荘事件」で、適法に犯人を逮捕し贖罪 をさせたが、元陸軍参謀瀬島龍三が絵を描いた国鉄改革では違法行為 たる「不当労働行為」を全面展開したことを忘れるべきではない。 軍隊は、勝利こそすべてで、勝利さえ得られれば手段の違法を 正当化する。
◎米軍の戦争に巻き込まれるな
.. 2022年06月02日 05:25 No.2488002
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