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避難は終わっていない | 「原子力緊急事態宣言」は現在も発令されたまま | 被ばくから身を守るための何の制度も施策もない中 帰還できない | 5月26日原発賠償関西訴訟で原告意見陳述 (その4)(5回連載) └──── (福島→大阪・2児を連れて母子避難中)
4.避難は終わっていない
福島をはじめとする放射能汚染地から続々と逃れる人がいる反面、戻る 人もいます。 福島原発事故から数年後には、避難する人より戻る人のほうが多いと喧 伝され、これもまた、避難する状況にない、非常事態は終息したという宣 伝に用いられるわけです。
しかし実際のところは、「原子力緊急事態宣言」は現在も発令されたま まで、今現在も緊急事態宣言下にあるのです。 緊急事態宣言を解く事ができないのは、国際基準(国際原子力事象評価 尺度International Nuclear and Radiological Event Scale, INES)から してもレベル7の事故が終息していないからです。
さらに、モニタリングポストの空間線量こそ水素爆発直後の線量よりは 下がったというだけであって、土壌(土)には、まだ何万ベクレルもの汚 染があり、何よりも、38万人ほどの福島県民の子どもたちを調べただけで も300人の子どもたちが小児甲状腺がんを発症し、私の子どもたちと同世代 の子どもたちの身に明らかに異変が起きているという事実があるのです。
そうであるにもかかわらず、実際に避難している人の人数さえまともに 数えられたことはなく、何人が避難したのかも、そのうちの何人が戻った のかも、11年経っても明らかではないというのが日本の現状です。
私もこの11年間で、何人もの母親の避難させてもらえなかった涙ととも に、「住み慣れた我が家に帰りたい」「子どもが父親と離ればなれで泣き 続ける」「自力での避難費用が底をつき、精神的にも経済的にも不安に おしつぶされてしまう」と泣きながら帰還していった母親の姿を見てき ました。 その声は、「復興」「頑張ろう福島」の大合唱にかき消され、いつも 「ない」ことにされています。
.. 2022年06月10日 04:40 No.2479007
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