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鎌田 慧(ルポライター)
退却を転戦と言い換えたのは日本帝国陸軍の作戦だった。 敗戦を終戦とした政府も、負けを認めたくない負け惜しみ。 そのころ、ブラジル移民の間には、故国の敗戦を認めない「勝ち組」と いうのがあったそうだ。
原発事故はアンダーコントロール。11年たっても続くウソだ。 侵略を「軍事行動」と言い抜けたのも罪が大きい。「赤ずきんちゃん」 のおばあさんを食べた、狼のような狡猾な偽装だ。
さて、自民党の安全保障調査会(会長=小野寺五典元防衛相)は、敵国 の「敵基地攻撃能力」の保有を検討すると決定した。 つまりは弾道ミサイルの基地をミサイルで反撃する方針で「指揮統制機 能等も含む」。このため、これから防衛費を倍増の10兆円にふやす。
ミサイルを撃ち合う戦争が続いている。このどさくさに自衛隊にも敵基 地攻撃の弾道ミサイルを装備させようとする。核を共有しようという極論 もある。そして「攻撃能力」を「反撃能力」に変えた。 「専守防衛」から「専守反撃」に変えても、憲法九条をクリアできるの か。防衛省を反撃省に変えても平和憲法か。
ロシア軍の攻撃はさらに激しくなりそうだ。戦争の長期化も予想されて いる。和平、停戦を望む国際世論はまだ力弱く死者はふえるばかりだ。 それを奇貨として防衛予算を倍増させ巨大な兵器を購入、開発しようと するのか。 (4月26日朝刊23面「本音のコラム」より)
.. 2022年04月28日 06:01 No.2464001
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