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地震のマグニチュードの割に大きかった原因海底地滑り | 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その442 └──── (地球物理学者)
政府の地震調査委員会が南西諸島から日本海南西部の地震活動につい て、新たな見解を3月末に発表した。だが南西諸島南部の八重山諸島では 不明点が多いので確率評価の対象外になった。
それは、ある地震津波が元だ。1771年の「八重山地震津波」である。琉 球海溝が震源で大津波が八重山諸島を襲った。東日本大震災が日本海溝に 潜り込む太平洋プレートが起こしたのと同様に、琉球海溝から潜り込むフ ィリピン海プレートが大津波を起こしたのだ。私が学生のときには津波の 高さが100メートルにも達した日本史上最大の津波と習った。その後の調 査で約30メートルとなったが、日本最大級だったことは間違いがない。
この津波で八重山諸島の政治と経済の中心だった石垣島が壊滅した。石 垣島の人口の半分にもなる約8000人が死亡・行方不明になった。 当時の沖縄は琉球王国で日本とは別の国だった。この津波も中国の元号 を取って「乾隆大津波」と言われていた。 琉球王朝は被害復興のために、被害が大きかった地域に他の島から入植 させた。いまだに石垣市街の中心部と外とは方言や文化に違いがある。
じつは石垣島の海溝に向いた東海岸には途方もない大きさの石がいくつ も転がっている。大きなものは大型バス二台ほどの岩で1000トンもある。 これらの巨岩はいくつもの大津波が海底から持ってきたものだ。サンゴが 作った石灰岩で、上に大きな木が茂っている。 それぞれの巨岩がいつの津波で上がってきたものか、最近の研究で明ら かになってきている。 これらの巨岩のうち、35トンほどの重さの岩は1771年の津波で上がって きたものだった。 しかし200トンの岩は1771年の津波では動かず、もっと前の約2000年前 の大津波で1000トンの石とともに上がってきたことが分かった。
.. 2022年04月24日 07:57 No.2462001
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