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日本では会社の不祥事が続出しております。会社に社会的責任が問われるような事態が発生した場合には、以下の対応をする事が求められます。経営トップは、その原因を究明し、企業としての責任ある施策を打ち出す。
経営トップは常日頃から、責任と権限を明確にするなど社内体制を整備し、万一緊急事態が発生した場合には、自らの指揮の下、迅速かつ的確に原因究明を行い、対応方針を打ち出す。社会に対しても経営トップ自ら、事態の経過、対応方針、再発防止策等について明確な説明を行う。
また、事実関係を確認した上で、処分をすみやか、かつ厳正に行い、社会的にも十分理解される形で事態の収拾を図る。経営トップ自らが直接関与していない場合でも、事案によっては管理者としての責任を十分認識した上で、自らに対し厳しい処分を課すことも必要である。
この語句は、経団連『企業行動憲章』実行の手引き第10章「企業不祥事に対する経営トップの基本的心構え・姿勢」に掲載されているものです。この手引きは時代に合わせて随時改定されており、最新版は2021年12月14日掲載の第8版、第10章「経営トップの役割と本憲章の徹底」となっています。
この憲章は、トヨタ自動車名誉会長豊田章一郎氏が第8代経済団体連合会の会長を務めた時代に作成されたものです。そのトヨタ自動車で、当時40歳の男性社員が鬱病を発症して2010年に自殺した問題について報道がありました。報道によると、自殺の原因はパワーハラスメントや過重労働だったと会社が認め、遺族と和解したとのことです。
名古屋高裁が労災を認める判決を下した後、豊田章男社長が遺族と面会し、謝罪をしたそうです。その際、「社長就任以来、会社の隠蔽体質の改革に努めてきたが、いまだ道半ば」と述べ、男性の自殺原因を調査する特別チームを編成して徹底的な再調査をすることを約束。その後の調査でパワハラがあったことを認めています。
また、豊田章男社長は「事件発生以来11年もの間、問題が放置されたのは、社内の隠蔽体質によるものだ。その体質を一掃する」と謝罪し、違反者の処分や二度と同様の事態を起こさないよう再発防止策を徹底すること、さらに取り組みの状況について今後5年間は遺族に報告することも合意したとのことです。
.. 2022年04月21日 05:36 No.2459001
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