|
原発に武力攻撃があれば規制委員会の審査は成り立たない | └──── 〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕
◎ 2022年3月8日【TMM:No4424】「ウクライナ問題は脱原発の チャンス」で、原発はミサイルどころか少数の通常兵器の攻撃だけで 破滅的事故に発展することを指摘し、日本でそのような事態が起きた 場合の被害予測を示した。 その改訂版を下記の3/27「脱原発をめざす首長会議・緊急オンライン 学習会」で提供している。[※1]
今回は「武力攻撃と規制庁の安全審査の関係」について 考えてみたい。
◎ 学習会では原子力資料情報室の松久保肇氏から、ウクライナの ザポリージャ原発での守備部隊とロシア軍の交戦の映像(構内の監視 カメラ)が紹介された。 原発の構内で重火器を撃ち合っているのだからとんでもない話だが、 原発建屋は堅固に作られており重火器が数発当たったていどでは格納 容器まで一挙に損傷することはないだろう。 ザポリージャ原発でも今回は幸いにも原子炉が危険になるほどの 損傷はなかったという。
しかし問題はその後である。たとえば柏崎刈羽原発に関して、これま で原子炉が自動または手動で停止した事例を資料[※2]に示す。 この資料からわかるように、原子炉自体よりも、周辺部分の小さな トラブルで止めざるをえない。 原発構内で撃ち合いが発生したらそうした事態が発生することは 不可避だ。 対処できなければ重大事故に発展するし、少なくとも発電できないの だから存在しないのと同じだ。
◎ ここで規制庁の安全審査との関連(いわゆる合格)について 考える。 審査書では、たとえば「炉心溶融が発生して冷却系統が起動 しなかった場合、格納容器の破裂を防ぐために、○名のチームにより ○○分以内に手動で弁を開ける」などのシナリオに対して「合格」の 判定を与えているだけである。あくまで机上の想定に過ぎず本当に 実行できるかは何の保証もない。
武力攻撃に備えて原発に強力な防衛隊を配置したとしても、原発 構内や周囲で撃ち合いが始まったら作業員は活動できない。 武力攻撃という条件を想定すると規制庁の審査は全く 成り立たないのである。
.. 2022年04月02日 06:20 No.2442001
|