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節分 三木義一(青学大名誉教授)
「ご隠居、今日は節分だ。豆でも思い切り投げて第六波のコロナを撃退 したい気分ですぜ」 「そうか、いよいよ冬も終わりだの。で、豆を投げるのはなぜかの?」 「ご隠居を投げ飛ばすのは大変だから〜」 「これこれ、この豆は健康に動けると言う意味の『まめ』で、疫病など の鬼を追い払うのじゃ」 「おお、健康第一ってことですね」
「昔は節分の時はそれだけではなく戸口にあるものをさして置いた」 「さす? てえと、鬼殺し等の酒ではねえな」 「柊(ひいらぎ)の葉っばを知っておるの?」 「ああ、あのトゲトゲしているやつですか」 「その枝と鰯(いわし)の頭をくしに刺したのを戸ロに挿すのじゃ。 葉のトゲと鰯の腐った臭いで鬼が逃げ出すというわけじゃ」 「それで逃げます?」 「鰯の頭も信心から、というではないか。素直にならねばの〜」
「柊の葉のようなご隠居にそんなこと言われたくねえな〜」 「おや、わしがトゲだらけだとでも?」 「そうですよ。ご隠居の人生は柊人生、偉い奴をちくちく刺す」 「ふふふ。あの柊も歳を重ねると葉が丸くなり動物に食べられる。 若い葉を護るためだ。わしの人生そのものだ。今年は六枚 重ねて燃すかの」 「何のために?」 「コロナを終わらせたいだろ、第六葉で!」 (2月3日朝刊21面「本音のコラム」より)
.. 2022年02月04日 05:33 No.2396004
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