|
『信濃毎日新聞 社説』より ・〈社説〉米高速炉協力 延命策にすがるだけでは 米企業の「高速炉」開発に、日本の原子力研究機関と企業が協力すると 決まった。 燃焼の効率を高めるため、より速く動く中性子を燃料のウランに当てる、 一般とは異なるタイプの原子炉である。 高速炉開発は既に、長く研究を続けてきた日本やフランスなどで、深刻 な行き詰まりを見せている。新興の米企業による計画が順調に進むとは考 えにくい。 日本の技術に資するとの見立ても、安易と言わざるを得ない。米企業に すれば、これまでに巨額の資金を投じ失敗も重ねてきた日本のデータや知 見が欲しいのは、当然だろう。提供でどんな見返りがあるのかも定かでない。 日本の高速炉開発は、原型炉の「もんじゅ」で深刻な事故や不祥事が相 次ぎ、1兆円以上の巨費を投入した末に2016年に廃炉が決まった経緯がある。 高速炉は日本で、原発の使用済み核燃料を再処理して核兵器の原料にも なるプルトニウムを取り出し、再び燃料として使う「核燃料サイクル」と いう構想の中心施設に位置付けられてきた。 構想は既に、危険性やコストの高さなどから破綻が明らかになっている。 政府や関連企業は延命策にすがるのではなく、その現実を直視しなければ ならない。 (1月23日 論説 社説より抜粋)
.. 2022年01月30日 08:26 No.2393002
|