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安易な原発再評価と再稼働は、地球環境への犯罪行為
鎌田 慧(ルポライター)
年が変わって3月で「原子力緊急事態宣言」の発出から11年を 迎える。それでも、放射能に追われて故郷へ帰れない避難者が、 まだ3万5千人もいるというのに「喉元過ぎれば熱さ忘れる」なのか。 新年早々、欧州委員会は原発を脱炭素のための「グリーン・ エネルギー」として、活用させる方針をだした。 福島やチェルノブイリの沃野を一瞬にして回収不能の荒野にして しまったのが「クリーン」を喧伝していた原発だったが、 今度はグリーンか。 脱原発をいち早く決断したドイツの賢明さに比べればまだ「ベース ロード電源」などと吹聴している日本政府は愚鈍というべきか危険 極まりない。 ほかの国はいざ知らず太平洋プレートなどに囲まれたこの弧状列島の 地底は活断層が縦横無尽。 古来、各地で大地震と津波の大災害を繰り返してきた。 にもかかわらず、50数基の原発や核施設を建造したのは無知というか 無謀というべきか。 建設地と周辺住民以外はまったく無関心だった。 福島第一原発敷地内には1061基のタンクが立ち並び、たまった汚染水 130万トンが海洋へ放出されようとしている。 汚染残土、残留放射能ばかりか、原子炉直下の核燃料デブリも処置 なしの状態。絶望的な核再処理工場、行き場のない高レベル廃棄物を 考えれば、安易な原発再評価と再稼働は、地球環境への犯罪行為だ。 (1月4日朝刊21面「本音のコラム」より)
.. 2022年01月21日 08:30 No.2385001
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