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永田町の裏を読む 「台湾有事」にあおられて要塞化が着々と進む沖縄の島
ジャーナリスト 高野孟
先週末に沖縄県宮古島を訪れ、着々と配備が進んでいる自衛隊基地を 視察した。 宮古島市役所から空港を挟んでわずか4キロほどのところにある陸上 自衛隊の通称・千代田駐屯地は、4年半前に訪れた時にはまだ買収を めぐってモメている最中だったゴルフ場跡地に、地対空と地対艦の 誘導弾を発射するミサイル部隊と警備部隊800人が配備されている。 さらに先月には、従来「単なる保管庫」と説明していた施設に ミサイルの弾頭が運び込まれた。道路沿いの金網越しに発射台装備の 車両が並んでいるのが丸見えで、それが妙に生々しい。
そのすぐ北東の航空自衛隊野原レーダー基地には、弾道ミサイル対処 機能を持つ最新鋭のFPS7レーダーと、電波傍受・解析の複合施設が ある。 さらにそこから10キロ余りはなれた島の東南端近くの保良では、見る からに頑丈そうな弾薬庫2基がすでに完成し、もう1基と「覆道式射撃 訓練場」の建設が進められているが、それらの施設は一番近い民家から 200mの至近距離にあり、集落の中に弾薬庫があると言えるほどである。
何のためにこのような島の要塞化が強行されているのかといえば、 政府は「中国軍が尖閣占領をきっかけに『島づたい』に南西諸島を 攻め上がってくる」などとマンガの読み過ぎみたいな説明をして いたものだ。
最近では、幸いにして(?)米バイデン政権が「台湾有事近し」と 大騒ぎしてくれるので、それに便乗して、米中戦争の際に東シナ海や 宮古海峡で行動する中国軍機・軍艦をミサイルで撃つという華々しい 攻撃的任務を担うかのごときたわ言に置き換わった。 知恵足らずの元首相が「台湾有事」でハシャぐのは仕方がないとし て、岸田政権は本当に中国と戦争する気なのかどうか。 (12月22日発行5面より)
.. 2021年12月24日 07:11 No.2371004
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