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石原莞爾の病床に来た最後に記者は、これからの対外政策を質問しています。石原莞爾の答えは、とても終戦直後の発言とは思えぬほど、大胆でした。「先ず日本が履行せねばならぬ條項に対しては国より忠実に率直に実行すべきだ。」
「併し遇に報ゆるに薬を似てする覇道外交に対しては身に肘鉄を帯びずとも、世界平和と人道の為めに彼の態度を糾弾し反省を求めねばなるまい。米国は民主主義国だから、ドイツに対するごときことはあるまいと思うが、目下のドイツ民族は立ち直るという気がする。」
「ドイツのごとき強大な民族史とも、国家には暴を似て暴に対してもこれを精神的に屈服しえず、むしろその怨恨は根強く残されて平和の遺恨となる。蒋介石は先般重慶全軍に対して、暴に報ゆるに暴を似てすべからず。日本との永い抗争は水にながした。」
「日本人に危害、略奪の暴挙をするな、との布告を放送したというが、正にこれなどは東方道義でも完全に負けたと痛感した。これから日本人が謙虚な気持ちになって満、鮮、支人と付き合って相互信頼、敬愛の念から生じた東亜連盟の結成に、各自が努力できるようになれと思う。」
「日本としては誠意をもって今後支那に対して東亜の将来につき協議し、その正しき理解を求むの態度にあるべきだ。東亜の各国家に対して日本が欧米覇道政策と同様な態度で臨んだ過去の一切の罪は、衷心から深謝する勇気を持たねばならぬ」
最後に「満州はユダヤ人の妄住地をつくってやってはどうか」と提案すると同時に、原爆を落として非戦闘員を虐殺したアメリカに対しては、思いもせぬ、胸がすっきりするような、石原莞爾らしい発想を披露しました。
「差し詰め米国は原子爆弾と中小都市爆撃での日本全土を荒廃し、数百万人の非戦闘員を殺傷せしめたのであるから、今後日本が恭順の意を表して男らしく屈服したからには、現物賠償のどうのをと金持国にも似合わせぬケチなことを問わず、反対に日本再建の資金位出したらどうか。」
「日本の宗教界も、米国のとった原子爆弾に真正面から、人道無視の刻印を押して執拗に抗議すべきである。キリスト教も救世軍も、これからはどんどん活動して裁いて、賀川豊彦先生あたりから日本の公正なる与論を、アメリカに通じていただきたい」
.. 2021年12月20日 05:02 No.2367001
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