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戦争犯罪というのは、煎じ詰めたところ俘虜の虐待殺人、または非戦闘員の虐待と殺人ということになる。(戦争で人(敵の兵士)を殺した場合は合法的殺人ということになる。)いわゆるA級戦犯の松井大将は、この虐待殺人の行われた現地軍の責任者ということで処刑された。 戦犯の裁判が不当であることについての、アメリカ人の弁護人ブレイクニー少佐の発言を引用する。 戦争の発動が国際犯罪であるとはずっと考えられてこなかったし、国際法によって犯罪であると考えられたこともない。そして望ましいことではないけれど、今日でもそうなってはいない。我々は勿論ー誰もが知っていることだがー原告側(すなわち連合国側)がここに新しい法を創出しようとしているのだと心得るところであります。論点をすすめよう。同じような事だが、戦争は国家の行動であって、個人のそれでないということである。こういうことはもうこれ以上言う必要もあるまい。国際法の全体系は、戦争が国家行動であり、諸国家間の関係によってもたらされるものとの基底に立っている。すなわち、戦争行為に関し個々人の責任を追及するいかなる条約も合意も存在しないのである。定義上の国際法は国家間に適用さるべきものであって、個々人は問題とならない。・・・中略・・・・法に従って進行するとの自らの声明のもとに正義を打ちたてようと考える当法廷には、そのような管轄権ーすなわち新犯罪を創始するという司法権はないと断定しうるのであります。結局次ぎのように要約したいーというのは、当法廷はこの事について、既にご承知の筈だからであるーすなわち戦争が合法的であるが故に戦争殺害は殺人ではないということであります。この合法的殺害ー述語風に申せば正当殺人犯ーは、全く嫌悪さるべきことだけれども、犯罪責任を問われるものと考えられたことは、かつて一度もなかったのである。もしも真珠湾攻撃によるキッド提督の死が殺人罪を構成するならば、その手でもってヒロシマに原爆を投じたひどい奴の名も、それを計画した主謀者や、その責任ある国家の元首をも我々は知っている。それを彼らは殺人罪であると意識していたであろうか。そうではあるまい。そうでないのは戦闘行為にあって彼らの原因が正義で、敵のそれが不正義であるという理由からではなくて、その行動(戦闘)そのものが殺人罪にあたらないからなのです。」 さすが弁護士、説得力がありますね。しかし、弁護人という職分とはいえ、これだけのことを言うには勇気がいったことだろうと思います。アメリカ人も賢い人は賢い。
.. 2006年09月17日 22:04 No.23001
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