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「クマムシ」5000匹が宇宙旅行 | 10年間の無代謝状態から復活も | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その402 └──── (地球物理学者)
宇宙旅行は年々行きやすくなっているが、じつはまだ多くの問題が 残っている。なかでも大きな問題は、宇宙から来る放射線の人体への 影響だ。 かつて月に行った米国のアポロ計画に参加した宇宙飛行士は心臓や 血管の病気での死亡率が高い。 1968〜1972年にアポロ計画で11回、月への有人宇宙飛行が行われた が、「訓練は受けたものの地球を離れなかった宇宙飛行士」や、「国際 宇宙ステーション(ISS)の乗組員のように低周回軌道内で地球の 近くにとどまった宇宙飛行士」と比べて、4〜5倍も高い死亡率だった。
これは、地球の磁気圏が作ってくれているバリアを越えて、たとえ 短時間でも、その外側に行ったために違いない。 ISSは「宇宙」といっても地球の半径の16分の1にしかすぎない。 それでも、人体に多少の影響はないわけではない。これまでISSに 滞在した宇宙飛行士は240名。滞在期間は数週間から数ヶ月が多く、 長ければ1年だった。
宇宙での人体への影響を調べるために「クマムシ」5000匹が 「スペースX」に乗せられて、6月に宇宙に送られた。 クマムシは大きさ0.05から1.2ミリメートルの小さな生物で、足が8本 ある。世界中に住む。 とても生命力が強い。150度Cの高温からマイナス200度Cを下回る 低温、真空から75000気圧の広い圧力の過酷な環境に耐える。放射能にも 強い。人間の致死量をはるかに超える放射線を浴びても平気だ。
クマムシは冷凍された状態でISSに送られ、そこで蘇生(そせい) して宇宙空間の放射線にさらされる。 極端な乾燥で脱水状態にされても「乾眠」という無代謝の休眠状態 になって、体重の85%ある水分を3%以下までに減らす。 しかし水を与えると息を吹き返す。クマムシは10年間の無代謝状態 からも復活できる。 クマムシが送られる理由は変化があったクマムシの遺伝子を特定 するためだ。宇宙空間での人体の旅行を遺伝子レベルで助けよう というわけだ。
.. 2021年07月07日 05:33 No.2234001
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