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◎ 「民の権利」はなぜそれほど強いのか。それは、民が生活の糧 として営みを続けてきたからです。権利とは、公から与えられるもの だけでなく、民によって創り出される権利もあるのです。民の営みが 続くことは、それほど重たいことなのです。 公共事業が計画されると、住民は「公民の関係」を重視し、免許や 許可や認可を出させまいとしたり、出されれば訴訟等で取り消そうと したり、といった努力を重ねます。 しかし、日本での「公民の関係」は、仲間内のズブズブの関係なの で、ほとんど成果をあげられず、住民が疲れ切って敗北する事例が跡を 絶ちません。 住民が公共事業に抗するには、「公民の関係」でなく「民民の関係」 を重視することが大事です。何も特別なことをする必要はなく、ただ 日々の営みを続けていればよいのです。 そうしていれば、事業者は、今の田ノ浦海域のように、頭を下げて 協力依頼をせざるを得なくなります。 そのときに「ノー」と言いさえすればよいのです。
◎ 7月3日、山口県宇部市のNGO「いのち・未来・宇部」主催の オンライン学習会*2が開かれ、「上関原発と漁業権」と題して上記の 主旨の報告をしました。 学習会に参加された家中茂氏(鳥取大学, 1990年代に石垣島の石垣新 空港問題に共に取り組みました)が、その後送って下さったメールに、 報告を聞きながら鶴見俊輔氏が「民」に徹底することが重要で、その 徹底ができれば戦前のような国の横暴が通らない、といったことを 書いていたことを思い浮かべた、と書かれていましたが、おそらく 通底するものがあると思います。 権利者が自らの権利を自覚するとともに「民」に徹し日々の営みを 続けること、支援者は権利者の営みを支えること。これが権力に抗する うえでの秘訣だと思います。
注 1.「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」は、憲法29条の「正当 な補償」の基準になるものとして昭和37年に閣議決定された要綱で、 公共事業の事業者(電力会社も含む)は、それぞれ同要綱に基づき 「損失補償基準」を作っています。 2.報告の際に使用したパワーポイントは私のホームページ ( こちら )に掲載しています。
.. 2021年07月06日 05:27 No.2230003
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