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スリランカ人の死が潰した入管法改悪法案 | (下) └──── (ジャーナリスト)
多文化共生の政策を
◎ 1997年以降、入管施設で収容中の死は41件にも上る。また、入管が 昨年、難民と認定したのは47人で難民認定率は1%(米国29.6%、 ドイツ25.9%)以下だ。 外国人の人権問題に取り組む指宿弁護士は、ウィシュマさんが3月 6日に死亡した直後、NHKの報道で彼女の死亡を知った。
外国人管理政策の改善のためにいま、何が最も必要か指宿氏に聞いた。 「外国人を敵視し、管理・抑圧の対象としている入管政策の根本を 改め、多文化共生の政策を取ること。長期収容を止め、家族が分離 しないで暮らせるようにするなどの人道上の配慮をして在留特別許可を 出すこと。国際基準で難民認定を行うこと。そのためには、法務省・ 入管から独立した機関による難民認定を行うことだ」
指宿氏は日本メディアについて、「調査報道したメディアを評価する が、この問題を5月18日頃までほとんど報道しなかった一部の新聞の 姿勢には疑問を感じる。また、入管法改悪問題について、入管庁からの リーク情報を無批判に掲載するメディアの姿勢にも疑問を感じる」と 指摘した。
◎ 国連人権理事会の3人の特別報告者と恣意的拘禁作業部会は連名で 入管法改正案の問題点を指摘した。 4月9日には、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、「迫害 から逃れてきた難民を誤って送還しかねない」と全面的な見直しを 求める異例の見解を発表した。
英エセックス大学人権センターフェローの藤田早苗氏は入管のビデオ 非開示について、「このビデオの件に限らず、こういう不透明さと、 責任者が責任を問われない体質を許してきた根本的な原因を少しでも 改善すべくメディアももっとできることはないのかと思う」と述べた。 「国連からこれまでもさんざん勧告を受けてきているのだから、 それらを取り入れて改善すべきだ。また、メディアは政府の国連書簡へ の筋違いな反論をそのまま垂れ流すのをやめるべきだ。『不法』滞在 という表現は『気の毒だけど、結局彼女は不法で罪を犯していた』 というイメージを与えていたようだ。この表現は今後やめるべきだ」
.. 2021年06月29日 05:33 No.2227001
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