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戦争政策の挑発 「沈思実行」(59) 鎌田 慧
学術会議6人の学者をパージした、菅政権初発の弾圧にいまだ反撃 できないうちに、こんどは悪法「土地利用規制法案」がもちだされた。 米軍基地や自衛隊基地周辺に「注視区域」や「特別注視区域」を 設定、建物の所有者や賃貸人の調査、監視、さらには利用を規制する 治安立法である。 もう政権に屈服しない。まして軍事研究は行わない、という学者の 痛恨の反省が、学術会議の基本理念だ。 が、菅首相は、公然とこの理念を足蹴にして恥じることはない。無知 ほど怖いものはない。
軍事施設周辺住民を強権的に規制する新法案の狙いと合わせると、 この二つの新たな挑発をみるだけでも、菅内閣のフアッショ体制の露骨 さがわかる。 前者は思想、言論の自由への弾圧であり、後者は居住の自由の制限と 公安警察に新たな活動の場をひらく、基本的人権の抑圧である。
舞鶴市や対馬・厳原など、戦時中に「要塞」があった地方都市へ取材 にいったとき、わたしは「要塞地帯法」や「建設物制限規則」などで、 いかに生活が不自由だったかを住民から聞かされてきた。 建物の新増設は制約され、写真撮影や地図作成なども軍の検閲を 受けた。 さらに「軍機保護法」が制定され、撮影ばかりか写生もスパイ扱い されていた。
外国人が土地を買うのをチェックする、との理由付けで、いま、新法 をつくろうとしているのだが、個人調査を強化する法律の制定を策動 する政権は恐ろしい。 デジタル庁創立で個人情報に網をかけ、「国民背番号制度」の完成を 目指す菅首相は、どんな日本の将来像を描いているのか。 首相の椅子にかじりつくだけの権力志向は、迷惑なだけだ。
軍事基地や空港、兵器工場、核施設、駅、港湾と重要施設は無数に ある。これらの建設への反対運動が長い間つづいてきたし、今も つづいている。 原発反対、空港反対。それらの周辺地域には、団結小屋がつくられ、 多くの人たちが常駐して運動してきた。 成田空港反対運動には無数の団結小屋があった。原発反対もそうだ。 それらのひとびとが、これから犯罪者にされる。 (6月22日第1215号8面より了承を得て転載)
.. 2021年06月27日 08:04 No.2225004
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