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一般住宅よりもはるかに脆弱な原発耐震 耐震性に着目すれば 日本の全ての原発を止められる 電力会社の「地震は来ない」は虚妄 学術論争の「魔法」から目を覚ませ
樋口英明(元福井地裁裁判長)
運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発が23日にも再稼働する。 この暴挙に、かつて原発運転を差し止めた元裁判長が「不都合な真実」 を喝破する。 「老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発は一つ たりともない」と−。
◎ 再稼働する美浜3号機の運転開始は45年も前も昔です —45年前の家電を今も使いますか?大量生産の家電は壊れても最新 技術の製品に買い替えればいいけれど、原発は大量生産できない。 技術は旧態依然で、一つの計器が故障しただけで原発の「止める・ 冷やす・閉じ込める」の安全3原則は綻び、重大事故が 起きかねません。(中略)
◎ 老朽原発が「高い安全性」を確保できるか否かが最大の危惧です。 —地震大国の日本で原発の高い安全性を担保するのは、信頼できる 強度な耐震性に尽きます。 原発の耐震設計基準を「基準地震動」と呼び、施設に大きな影響を 及ぼす恐れがある揺れを意味します。 美浜3号機の基準地震動は993ガル(揺れの強さを示す加速度の単位)。 しかしこの国では1000ガル上以上の地震が過去20年間で17回も 起きているのです。(中略)
◎ 基準地震動を超える地震がいつ襲ってきてもおかしくはない、と。 —しかも美浜3号機の基準地震動は建設当時の405ガルからカサ上げ されています。建物の耐震性は老朽化すれば衰えるのに、原発だけは 時を経るにつれて耐震性が上がるとは不可思議です。 電力会社は「コンピューターシミュレーションで確認できた」と 言い張りますが、計算式や入力する数値でどうにでも変わる。
住宅メーカーの耐震実験は建物を実際に大きな鉄板の上で揺さ ぶります。その結果、三井ホームの住宅の耐震設計は5115ガル、 住友林業は3406ガル。2社が飛び切り高いのではなく、改正後の建築 基準法は一般住宅も震度6強から震度7にかけての地震に耐えられる よう義務づけています。ガルで言うと1500ガル程度の地震に 耐えられます。
.. 2021年06月13日 07:56 No.2215001
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