|
海洋放出は殺人行為、水俣の過ちを繰り返すな 〔茨城県、元瓜連(うりづら)町長、 瓜連町は合併により今は那珂市です〕
◎ 政府が海洋放出を決定
私は本誌の昨年9月号で「トリチウム汚染水の海洋投棄」を 取り上げ、国、東電の姿勢、漁業関係者などの反応について書いた。 この時点では、国や東京電力がいつ海洋放出を決めるかが 分からなかった。 しかし今年に入って4月13日、政府は関係閣僚会議を開き、東京電力 福島第一原発の汚染処理水を希釈し、放射性物質の濃度を下げ、原発 敷地内から福島沖へ海洋放出する方針を決めた。 政府の計画だと、実際の放出は2年後の見通し。懸念される風評 被害は東電が賠償する。この決定に対し、全国漁業協同組合連合会 (全漁連)や福島県、茨城県の漁連は放出に抗議する声明を出し、 抵抗を強める構えだ。改めてその経過や問題点をお伝えしたい。
政府が決定した「処理水の処分に関する基本方針」では、国内実績が あり放射性物質トリチウムの濃度検知が確実だとして、海洋放出を 決定した。 タンクに貯められた汚染水の7割は、トリチウムの他にも、分かって いるだけで63種類の放射性物質が国の排出基準を超えている。 そのため、取り除けないトリチウム以外は規制基準を下回るまで 多核種除去装置(アルプス)で処理し、トリチウムは国の放出基準の 40分の1未満にまで薄めて、安全確保に努める、という。今後たまり 続ける分も含め、流し終えるまでには30〜40年かかる見通しだ。
放出を実施するのは東電で、今後、その計画や設備について原子力 規制庁の審査を受ける。審査や工事に2年程度かかる。原子力規制 委員会では、審査は公開で開くと言っている。 福島第一原発では、事故発生から10年経った今でも1日当たり140 トン前後の汚染水が発生し、これを多核種除去施設(アルプス)で 浄化した後の処理水も増え続けている。 現時点での貯蔵量は約125万トンで、2022年秋頃には137万トンある 貯蔵用タンクが満水となる見通し。政府と東電は処理水を処分した スペースに、廃炉に必要な施設を設置したいとしている。
.. 2021年06月10日 05:17 No.2213001
|