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五輪・原発ごり押し 似た構図 中野広幸(横浜市金沢区)
新型コロナの緊急事態宣言が全国に広がる中、多くの国民が五輪の 中止を求めているにもかかわらず、政府は開催に突き進んでいる。 思えば「復興」という美名を冠して始まった東京五輪は、福島第一 原発の「アンダーコントロール宣言」という嘘(うそ)から始まった。 考えれば五輪と原発はその構図がよく似ている。理由は4つある。
一つは、リスクが高くカネがかかること。地震大国というハイリスク の日本で原発を進めるには、安全性を確保・高めるために莫大な費用が 生じる。放射能廃棄物の処理に至ってはそのめどさえ立たない。 感染蔓延(まんえん)の日本で五輪を行うなら、国民、選手団らの 安全性を担保するのにやはり膨大な費用が生じる。しかもともに 「完全」ではない。想定外のアクシデントが起これば取り返しの つかない惨事となる。
「経済効果」の好きな日本政府なら、損得勘定を考えるだろう。 それでも実施するのは、費用の負担者と受益者が異なるからだ。 これが似ている点の2つ目。 原発は費用負担は電気料金を払う国民であり、受益者は原子力村の 企業。五輪の負担はやはり国民の税金であり、受益者はスポンサー 企業ならびにIOCだ。
似ている点の3つ目は、ともに国民の過半数が反対しているという こと。 それでも民意を無視して、ごり押しする。これで4つだ。 五輪と原発が重なる。こんな政権を「ほかよりマシ」といつまでも 許すわけにはいくまい。 (5月27日朝刊5面「ミラー」より)
.. 2021年05月28日 05:25 No.2204002
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