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墨田区には「すみだ北斎美術館」があります。JR両国駅から少し歩いた一角に区立緑町公園があり、その小さな公園に面した4階建ての建物がすみだ北斎美術館です。この美術館は、富嶽三版画「十六景」等の有名な作品を多数残した、江戸時代の人気浮世絵師・葛飾北斎(1760−1849)の生き様や作品を伝え残しています。
両国は、北斎が生涯の大半を過ごした地域です。そのため北斎ゆかりの地となっています。浮世絵師と言えば、広重、写楽、歌麿など教科書に掲載されていますが、その中でも特に北斎は日本有史以来トップクラスの芸術家でしょう。また、作品だけでなく、北斎の生き方は非常に魅力的です。
北斎は、90歳で亡くなるまでの人生で、名前を30回も変えています。そのうちのひとつ、「画狂老人」は有名です。転居すること93回、1日に3回引っ越したこともあると言います。北斎が転居を繰り返したのは、彼自身と、離縁して父のもとに出戻った娘のお栄とが、絵を描くことのみに集中し、部屋が荒れたり汚れたりするからです。
そのたびに引っ越していたから、という説があります。また、100回引っ越した先人を目標に、自分も100回引っ越してから死にたいと言ったという説もあります。死を目前にした北斎は大きく息をして「天が私の命をあと10年伸ばしてくれたら」と言いった。
暫くしてさらに「天が私の命をあと5年保ってくれたら、私は本当の絵描きになることができるだろう」と言って死んだと伝えられています。年齢を理由にしてやりたいことを諦めることなく、何歳になっても好奇心の赴くまま行動をした、生き生きと働く高齢者のお手本のような人物です。(参考「葛飾北斎伝」飯島虚心著 岩波文庫)。
すみだ北斎美術館の営業時間は9:30〜17:30、休館日は毎週月曜日です。チケットの価格は、常設展が大人¥400(税込)、高校生以上の学生、65歳以上¥300(税込)。企画展示は各企画によって変動するので事前に確認してから行きましょう。
.. 2021年04月22日 08:29 No.2179001
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