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復興・帰還政策=「放射線安全神話」に終止符を | 「子ども脱被ばく裁判」福島地裁 不当判決 | 内部被ばくを覆い隠す原子力ムラ | 長い目で次の世代にも引き継ぎ闘う └──── 子ども脱被ばく裁判弁護団長 井戸謙一弁護士に聞く (下)
「広島原爆 黒い雨」75年後の勝訴 長い目で次の世代にも引き継ぎ闘う
編…現状を打開するには? 井戸…まず、土壌汚染の計測の必要性と微粒子による内部被ばくの 危険性を広く訴えることです。 今回の裁判の大きな意義は、セシウムを含む不溶性放射性微粒子の 大量放出と危険性を提起できたことです。 ICRPは「セシウムは水に溶けやすいから体内に入っても大きな 影響はない」として、内部被ばくの危険性を認めていません。 福島事故でも国は空間線量の低減ばかり強調し、内部被ばくに重要な 土壌汚染は測定もしません。
判決は、「微粒子の危険性が科学的に解明されていない」と言い、 「今後もその健康影響のリスクを十分に解明する必要がある」ことは 認めました。 微粒子は土壌に沈着するため、土壌の計測が必須です。科学的に はっきりするまで対策を採らないことを是認する判決の考え方は、 子どもたちを実験台にするもので、許されません。
時代はジグザグに動きます。昨年7月、広島原爆で「黒い雨」を 浴びて内部被ばくした住民に、被爆者健康手帳の交付を認める判決が 全員に出されました。 75年経っても、80代になっても住民が闘った結果、内部被ばく被害が 認められました。子ども脱被ばく裁判も仙台高裁に控訴しました。
原子力ムラは強大です。短期間で解決する問題ではありません。 ヒロシマ・ナガサキの闘いが2世代、3世代に渡って続けられている ように、私たちは人生をかけて、次の世代にも引き継ぎながら、少し ずつ押し戻していくしかありません。 そのために、ある者は街頭に出て、ある者は法廷に出て、ある者は 金を出して、ある者は署名を集め、ある者は研究を続け、自分のできる ことを積み上げていくのです。 長い目で自分たちの人生を俯瞰しながら、焦らず、くさらず、行動 していきましょう。
(「人民新聞」2021年3月15日通巻1744号より、了承を得て転載)
.. 2021年03月30日 06:02 No.2159001
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