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(16回の連載) | 放射性廃棄物の地層処分と地熱問題 └──── (信州大学工学部元講師)
◎ 現在、イギリスとフランスで使用済み核燃料再処理工場が稼働して いる。日本では、小さな事故が多発して何度も稼働を延期した青森県 六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場が、2022年に稼働する予定である。 使用済み核燃料再処理工場が多量の放射性核種を放出することは すでに述べたが、憂慮すべきことが他にもある。
多量の硝酸を使用するため、使用済み核燃料再処理工場の稼働は常に 不安定で、大事故が勃発する危険がきわめて高い。 また、建屋内に多量の使用済み核燃料を保管しているため、大事故が 勃発した場合、放射能被害は3.11東電福島第一原発事故をおそらく 凌駕する。それでも経産省と電力資本は、使用済み核燃料再処理工場の 稼働を強行しそうだ。
◎ そして経産省と電力資本=NUMOは、使用済み核燃料再処理工場 で「製造」したガラス固化体=高レベル放射性廃棄物をステンレス製 キャニスタに実装し、粘土製の緩衝材=人工バリアで保護して地下300m 以深の岩盤層に地層処分=埋設するつもりでいる。 経産省とNUMOは、ステンレス製キャニスタの耐用年数は1000年 以上、人工バリアはガラス固化体を1万年以上保護する、と 豪語している。 だが、人工バリアがガラス固化体を保護する期間は数年かもしれない。 ステンレス製キャニスタの耐用年数も数年〜十数年であると考える が、それについては後述する。ここでは、人工バリアがガラス固化体を 数年程度しか保護できないと考える理由を述べたい。
.. 2021年03月26日 08:13 No.2155001
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