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「永久凍土」の融解から世界流行の恐れ 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その389 (地球物理学者)
新型コロナウイルスが猛威をふるっている。18日(※)午前現在、 世界で1億2000万人超、日本でも45万人超が感染して、死者も世界で 約267万人、日本でも8700人超に達している (米ジョンズ・ホプキンス大集計)。 この流行はスペイン風邪に匹敵する。20世紀のはじめに世界で患者数 約6億人、2000万から4000万人が死亡したとされているスペイン風邪 は、やはりウィルス起源の病気だ。
だが、スペイン風邪のウィルスがどこかに保存されているわけでは ない。このため、いまだに研究が続けられている。 私はノルウェーの西北に拡がるバレンツ海の地球物理学の研究で北緯 75度のスピッツベルゲンを訪れていたが、そのときに墓を掘り起こして いる科学者がいた。 土葬の遺体にウィルスが冷凍保存されているのでは、と遺体の一部を 取り出す研究である。各地に住む末裔(まつえい)の許可を取った ほか、中が負圧になるテントや、密閉箱など、ウィルスが出てこない ような周到な準備もした。
しかし、墓を掘る研究は空振りに終わった。遺体は天然の冷凍庫で ある永久凍土層よりも浅いところになってしまって、遺伝学的サンプル は得られなかったからだ。 もっと古いウィルスを調べる研究も始まり、この2月に発表された。 ロシア国立ウィルス学・生物工学研究センター。融解した永久凍土層 から出土した動物の死骸を分析することで、先史時代のウィルスの研究 を始めたのだ。いまはウマにとりかかっているが、将来は永久凍土に 閉じ込められていたマンモス、ヘラジカ、イヌ、げっ歯類、野ウサギ などの先史時代の動物の死骸も調査する。
.. 2021年03月25日 07:58 No.2153001
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