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避難計画の実効性に関する論点に全く触れず関西電力側を | 一方的に支持するような門前払いの判決…驚くべき不見識 | └──── 〔環境経済研究所代表〕
◎ 福井県の関西電力の原発の運転に関して、新型コロナが終息して いない中で事故が起きれば安全な避難はできないとして住民が運転 差し止めの仮処分を申し立てていた裁判で、大阪地裁は2021年3月17日 に門前払いの判決を示した。 一連の原発訴訟の中でも特にひどい判決であり弁護団も驚いている という。 判決の要旨は、避難計画の不備だけでは安全に避難できないと認定 することはできず事故が発生する具体的な危険性があることを示す 必要があるとしている。
◎ 各社の報道では省略されているが、原告側は、船舶や航空機では 避難設備や避難手段が準備されていなければ法的に運航停止が命令 されるのだから、それと同じという論点を主張している。 今回の判決によれば、避難設備や避難手段がなくても、墜落や遭難の 危険性が具体的に証明できないかぎり船舶や航空機をかまわず運航して よいことになる。
◎ 現実的に考えると、裁判所としては、すでに一部が稼働している 原発に対していきなり全機運転差止めの判決は出しにくいという背景は あるだろう。 しかし判決としては却下でも、避難計画の実効性に関する論点に全く 触れず、あたかも関西電力側を一方的に支持するような門前払いの 判決とは全く驚くべき不見識である。 原告側はもちろん控訴して活動を続けるとしているので 今後に期待したい。
.. 2021年03月19日 07:10 No.2149001
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