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昭和7年11月21日から3日間、ジュネーブの国際連盟理事会で行われたリットン勧告書に対する日本、中国両全権の討論は凄まじいものでした。要点は次のとおりです。先攻は松岡です。@満洲における日本の軍事行動は自衛のためであって、すべての政党も国民も一致して支持している。それは満洲問題が日本にとって生死の問題である。
A満洲はそもそもツングース族のものであって漢民族の領土ではない。ツングースが中国に進出して清国を創建したのであって、漢族が満洲を支配したことは歴史上なかった。Bリットン報告書は、日本軍を満洲から撤退させ、列国合同の国際憲兵隊で整備することを提案している。匪賊が跳梁する満洲である。どうして各国寄せ集めの軍隊で治安維持が可能であろうか。
C一方報告書は、支那に強固な中央政府がでなくては、平和の実現は不可能とものべている。極東の平和は、日中間で直接交渉すべき課題である。然るに連盟は、支那側の主張のみ耳を傾けている。
Dかつて2千年前、ローマはナザレのイエスを十字架にかけた。ところが今は欧米の大部分は、イエスの前にぬかづいている。今欧米の多くは、20世紀の日本を十字架にかけようとしている。今日、日本が十字架にかけられても、世界の世論はやがて日本に与するであろう。
とくに中国代表願維釣が、日本の満洲侵略の計画を暴露した「田中上奏文」をもち出したことに対し、松岡は「田中上奏文」が偽書であることを明らかにして論破した。これに対し願維釣は猛烈に反撃した。
「たとえ、実情が松岡氏のいう通りであっても、それが武力侵略を理由づけるかどうかは別間題である。日本代表は9月18日の軍事行動は自衛行為であり、且つ日本軍は一定の計画を迅速且つ正確に遂行したと言われたが、その一定の計画とは何であったのか。」
「その計画は単に奉天占領のみならず、全満州の占領だったのである。然るに支那側は何らの抵抗をしなかった。この事実よりして日本の行動は自衛と言えるだろうか。もしこれを自衛と解釈するならば、不戦条約を維持する必要はなくなるであろう」
.. 2021年02月13日 08:28 No.2123001
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