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満州国傀儡論を徹底批判したジョージ・ブロンソン・レーの『満州国出現の合理性』を見ると戦後日本では、満州事変の歴史を否定的にみることが、過剰と思われるばかりにあふれています。欧米がアジアを侵略したことは「進出」といい、日本の戦争に対しては「侵略」のレッテルを貼るようなアンバランスぶりです。
歴史書や百科事典あたりでも、満州国には『傀儡国家』とか『偽国』と書いていますが、ソ連の衛星国やその他傀儡と思われる国家には、この言葉は使いません。そんな例を見るたびに思い出すのは、アメリカのジャーナリストで、中国在住32年のG・B・レーが書いた『満州国出現の合理性』の大著です。
この本は豊富な支那在住体験と、あらゆる文献を駆使したもので、著者の博覧強記ぶりに驚く場ありです。紹介すれば、満州を『傀儡国家』と呼ぶことを批判して、次のように述べています。「世界は満州国を読んで傀儡国家であるといふ。満州国人自ら政治の術に巧ならざりしが為に、当初日本人専門家の友好的援助を受けて新国家を組織したのである。それを傀儡といふなら、世界には無数の傀儡国家が存在することになる」
彼はこのように述べて、世界の傀儡国家の例を挙げています。そうすると、自力で独立している国は段々少なくなってきます。満州を傀儡国家として攻撃している「支那共和国」自身も傀儡国家になってしまいます。昭和7年4月、国際連盟からリットン調査団が派遣されました。
調査団は、満州の多数の住民が支那系満人であることから、支那人が満州の主権を当然に獲得する権利があるように報告書で述べております。それに対してプロンソン・レイ次のように反論しています。
「支那本部からいかに支那人が満州に移住しても、満州に対して権利を獲得するものではないことは、スペインの移民がラテンアメリカ諸国にスペインの主権を樹立し、ブラジルに、アメリカにイギリス、ケペックにフランス、ハワイに日本、シンガポールに支那の主権を樹立し得ないのと同様である。」
「もし植民もしくは移民したものの数が原住民の数を超えたという事実が主権を樹立し得ないのと同様である。もし植民もしくは移民したものの数が原住民数を超えたという事実が主権を伴うことになれば、日本は同一論法をもってハワイ群島に対する主権を主張するかもしれない」
.. 2021年02月04日 08:45 No.2116001
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