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共和政ローマ崩壊の遠因!? | 紀元前に2回起きた米国・アラスカの火山噴火 | 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その377
「共和政ローマ」とは、紀元前509年に王政を打倒してから、紀元前 27年の帝政の開始までの期間の古代ローマのことだ。支配面積は紀元前 4世紀には1万平方キロメートルだったものが紀元前50年には20倍にも 拡張して、地中海一帯に栄えた。 だが、古代ローマの将軍であり政治家でもあったカエサルが紀元前 44年に暗殺されたことをきっかけに20年近く権力闘争が続いて、共和政 ローマは崩壊した。 じつはこの時期に異常な寒波が続き、飢饉(ききん)も広がって いた。これが共和政ローマの崩壊の遠因であった。地中海地域で、 なぜ異常気象が続いたかは、ずっと学者を悩ませて来た。
このほど、北極の氷河のボーリングに含まれる火山からの噴出物を 調べたら、紀元前に二回起きた米国・アラスカのオクモク火山の噴火の ときに出たものだったということが分かった。紀元前45年と、同43年の 噴火だ。これらの噴火は過去2500年に世界で起きた最大級の噴火 だった。大噴火は地球の反対側にまで影響を及ぼすのだ。 これは科学者や歴史家からなる国際的な研究者たちが明らかにした もので、米国科学アカデミー紀要に今年、掲載された。
研究者たちは地中海地域だけではなく、北半球の気温がこの2500年で 最も低かった時期に重なっていたことを明らかにした。北欧のスカン ディナビア地域の気候の歴史を刻んだ木の年輪や、中国北東部の洞穴を 調べ上げて、オクモク山の噴火後の2年間、夏と秋の平均気温は標準を 7度Cも下回っていたことが分かった。北半球全体に噴火の影響が 大きかったのだ。
.. 2021年01月31日 07:32 No.2113001
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