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日本人の肝炎の約80%がウイルスによるものだといいます。ウイルスには、A、B、C、D、E型などがあり、日本で多いのはA,B,Cの3種類です。A型の潜伏期間は2〜6週間で、海外での感染が多く、旅行者の感染する肝炎の80%がA型です。急性肝炎のみで完治し慢性肝炎や肝硬変には移行しません。
B型は血液・体液感染で、潜伏期1〜6ヶ月で、慢性化します。輸血、母子感染、性行為の感染が多く、肝硬変に移行し肝臓ガンを併発する可能性があります。C型は血液による感染で、潜伏期2〜16週間。輸血による感染が60%を占めます。B型に比べて感染力が弱く、母子感染や性交感染は極めて少ないです。
劇症肝炎は、A型が8%、B型が41%、C型が2%、薬剤が起因するものが9%などで、残りの約4割は原因不明とされています。原因不明のひとつがE型ウイルスです。日本での感染とみられる症例が日本各地で見つかりました。
本来は衛生状態の悪い途上国の病気とみられていたE型肝炎が、日本に広がり、死者が出ていたことが、明らかになり、国内での監視態勢の整備が必要になりました。E型ウイルスは、身近な猫や家畜が感染源となる人畜共通感染症であるため、動物を通じて感染が拡大する可能性が高いと思われます。
妊婦がかかると死亡率が高い、欧米でも問題化しています。死者は若い女性が多く、劇症肝炎と診断され、肝不全になり、生体肝移植を行うなど治療を続けられましたが、3か月後に死亡したというケースがあります。
HEVを検出し、その遺伝子を分析した結果、海外で報告されているHEVとは遺伝子の配列が異なっていたそうです。これまで海外渡航者が帰国後、E型肝炎を発症したことはありましたが、死亡したすべての人は渡航歴がなく、ペットを飼っている方なのでウイルスがすでに国内に定着している可能性が高いそうです。
E型肝炎は、便などに含まれるウイルスが、水や食物を通じて経口感染する急性肝炎で、死亡率はA型の10倍に当たる恐ろしいウイルスです。日本では整備されていない途上国の病気として軽視され、HEVの検査薬も普及していないため、ほかの患者が見逃されている恐れがあるとことです。
.. 2020年11月21日 11:41 No.2080001
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