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石原莞爾はこの論文で初めて「朝鮮の将来」について、一刻も早く朝鮮民族の独立を叫んでいます。日本の軍人、政治家の中で、朝鮮の将来を考え、そのために憲兵から睨まれ監視されたのは石原莞爾と同志、東亜連盟会員たちだった。憲兵と特高は終始、石原莞爾の周辺や、出入りする者をリストアップしては尋問し、そして「赤」呼ばわりしました。
憲兵と特高、とりわけ内務省の役人たちは、いつ石原莞爾が暴動に走り、クーデターを起こすか知れない、と地方の会員や朝鮮人の同志たちを監視したり、拷問しては責めたりしています。山形警察の堀田課長の報告がそのことを物語っています。内務省の役人たちは「ことを起こすことはない」ことを知ると、ほっとして胸をなで下ろしています。
全てはこれまで特高たちがデッチ上げしたデマが原因だったのです。実に無駄なエネルギーを使っていたのです。石原莞爾は「彼らこそ懺悔せよ」と戦後語っています。戦後の石原莞爾は、中国及び中国の後見人になって実権をにぎろうとするアメリカと、共産化しようとするスターリンのソ連に、いずれ朝鮮半島は呑み込まれると語っています。
南北に分断され、自由と独立を奪われると予見しているのです。京都の朝日会館で演説する石原莞爾の左右には米軍のMPが立って、監視していましたが、石原莞爾はそこで朝鮮の独立を次のように叫んでいます。これは石原莞爾が初めて明らかにし、声を上げて叫んだ項目です。
「華、米、ソ三国の下に朝鮮民族が再び争いを起すのではないかと心配している朝鮮人も少くない。しかし私は四十年間苦労してきた朝鮮民族は、この際大同団結して速かに完全なる独立を獲得することを祈り、その成功を信じている」。
「ソ達の戦力は米英に比して恐らく数分の一に過ぎないであろうが、そのソ連が今日、政治的には逆に攻勢的態度に出て着々成功してきた。階級意識の強い欧州では主として社会主義の魅力により、アジアは反帝国主義、弱小民族解放がこの成功をもたらしたのである」。
.. 2020年10月20日 06:14 No.2054001
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