|
「オール秋田」の運動で「イージスアショア」を断念させた
鎌田 慧(ルポライター)
先週の土曜日。秋田市でちいさな集まりがあった。菅義偉新首相と おなじ秋田出身、101歳の全生涯を歯に衣(きぬ)を着せぬジヤーナリスト として全うした、むのたけじを顕彰する「地域・民衆ジャーナリズム」 賞実行委員会主催だった。 彼の5回忌に合わせ「イージスアショア新屋配備を断念させたのは 秋田の住民の力だ」とする住民運動の集会でもあった。
米軍の戦略に従属する米日軍事同盟下、それも国の「専決事項」と 突っ張ってきた防衛省が住民の抵抗を受け方針を変えた。お粗末、 デタラメな防衛計画が、見事に破綻したのは特筆に価する。 それも安倍前首相の出身地・山口県と菅前官房長官の秋田県が基地 予定地。郷土を売る計画だった、ともいえる。
知事、市長、県、市議会。科学者、住民、地元紙がそれぞれに すすんで署名、請願、陳情運動、報道に力を尽くした。辺野古基地 反対運動と同じネットワーク型「オール秋田」の運動となった。 自民党の「憲法改悪案」では、地方自治の力を奪うものになって いるが、現憲法が健在である限り、地方自治条項は国の暴力を防ぎ 「住民の力」と「住民のいのち」を守ることができる。
「戦争絶滅を謳(うた)った憲法9条こそ、人類に希望をもたらす」 というのが、従軍記者だったむのたけじの生涯にわたる信念だった。 (9月29日朝刊23面「本音のコラム」より)
.. 2020年10月01日 08:32 No.2039001
|