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残暑でもコロナのせいで熱中症減 47歳男性 「ふくしま作業員日誌」
一時期よりだいぶ涼しくなったけど、今年は梅雨が長かった分、残暑が 厳しい。夏は強い方だけど、お盆前より、お盆後は湿度が高くてきつかっ た。全面マスクや半面マスク、防護服を着けての作業だと、早朝でも全身 から汗が噴き出す。あっという間に汗が流れてパンツまでビショビショに。 流れ落ちた大量の汗は靴にたまる。休憩所のある建物の廊下には、作業員 の足跡と汗の水たまりが点々と続き、それを避けながら歩く。 最悪なのは、仕事に行く前に共用の靴の選択を間違い、誰かの汗がたま った靴を履いてしまうこと。 靴下を3枚重ねているから、しばらく歩くとぐちゃっと染みてきて「う わーっ。ちょっとストップ!」と同僚に声を掛け、慌てて替えに戻る。下 半身が蒸れるのでパンツをはかずに、東電支給の下着を直接着る作業員も 多い。俺はパンツをはいていたせいか、今年はブツブツができて焦った。 そんな蒸し暑いのに、今年は熱中症が少ない。東電から元請け会社に 「猛暑なのに、なぜ少ないのか」と問い合わせが来たみたいだが、それは コロナのせい。 会社から飲み歩くなと言われているし、みんな実際、飲みに行っていな いからね。集まって酒飲もうって雰囲気じゃないし、感染者が出れば現場 が止まって仕事ができなくなる。その結果、熱中症の危険性が高くなる寝 不足や脱水症状になりにくい。 福島県外に出た作業員は、2週間の行動記録のチェックや待機になる。 新しく県外から入る作業員は、PCR検査を受けるか、2週間の待機にな るけど、元請け会社がどう対応するのかはまだ決まっていないみたい。待 機中の給料を補償する元請けもあるようだが、会社によって違う。 先日、イチエフ(福島第一原発)でも2人感染者が出たと聞いてひやっ としたが、抗体検査が陽性で、PCR検査は大丈夫だったらしい。東京の 建設現場でも出ているし、東電の柏崎刈羽原発でも社員がなった。それに 無症状の人もいる。イチェフでも、いつ出てもおかしくない。 (聞き手・片山夏子) (9月4日朝刊23面より)
.. 2020年09月06日 08:34 No.2019002
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