|
連載その9 | NHKスペシャル「忘れられた戦後補償」を見て | 軍人・軍属に補償し、民間被害者に補償しない理由はない | 権力の横暴とそれを支える国民という構図 | 補償を求める闘いは、権力の愚行を防止し、 | よりよい社会を創る闘い └──── (明治学院大学名誉教授)
◎ 新型コロナは一向に収まる気配を示していません。有効な感染抑止 対策を講じないままGoToキャンペーンを進めているのですから、 収まるはずがありません。 国は、全国知事会からの「補償を伴う休業要請が可能になるよう 法改正を」との要求を拒み続けており、これが感染拡大をまねく大きな 要因になっています。 国は、なぜ法改正を拒み続けるのでしょうか? そのヒントになる番組が8月15日に放映されました、 NHKスペシャル「忘れられた戦後補償」です。 *1,*2
◎ 同番組の要旨を以下に記します。
1.戦時中には、戦時災害保護法に基づき、空襲等による民間被害者に 対して金銭的手当てがなされていたが、戦後まもなく、GHQは、軍国 主義の温床になっているとして、戦時災害保護法を軍人恩給と共に 廃止した。
2.ところが、軍人恩給のほうは1953年に復活し、その後、特に高度成 長期以降、年々積み増しされ、これまでに約60兆円が補償されている。 多くの旧軍人が厚生省に入るとともに、日本遺族会からの強い働き かけ、及びそれに呼応した政治家の動きがあったからである。 他方、民間被害者に対する補償は戦後一貫して拒まれ続けている。 司法も民間被害者の訴えを斥けた(名古屋空襲訴訟1983年高裁判決, 1987年最高裁判決)。
3.国及び司法が民間人への戦後補償を認めない理由は、次のイ.から ホ.等である。
イ.財政的に国に大きな余力はない。 ロ.戦争による犠牲を憲法等の法律問題にすること自体無理がある。 ハ.戦争による犠牲は国民が等しく受忍しなければならない。 ニ.国全体が豊かになり、人々の生活が良くなっていくことで、被害は カバーされていく。 ホ.いま戦後補償をした場合、費用の多くを戦争を知らない世代が負担 することになり不公平。
.. 2020年08月20日 05:23 No.2002006
|