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自由貿易は急速に経済を膨張させが、これは侵略主義の発展となってきている。私は自由貿易は採らぬ。むしろ、鎖国時代の日本に帰って、必要最小限の了解しあった国々との、合無相通ずる程度の物資の交流をして、立派にこの狭い国土に生きていく。
これが現在、私の考えている新日本建設の方途である。この狭い土地に7000万人の人を養い、高い科学文化を培っていくことができることを世界に示すべきである。我々の作る新しい文明が世界に驚嘆の声を巻き起こすとき、初めて日本が世界の指導者としての基礎が秀でると信じている。
そのためには、今日のいわゆる借り物の自由主義や共産主義では見通しがない。自由主義から見れば、貧乏生活をなくしてやっていくだけだし、共産主義が労使闘争をしていこうが、小作人が地主になったところで大したことはない。
もっと高度な、建設的な方策がなければ日本は救われないと思うのである。自由主義や共産主義にはまだ人間の文明が本当に大きな転換期に来ているという感度がない。私は、文明が今本当の意味での転換期に来ていると考えている。
日本人は侵略的だ、としばしばいわれる。まだ自由主義がこれからの日本の生き方だ、といわれる。私からいわせると、自由主義と4畳半に1人寝ることだ。つまり、4畳半の家に1人寝れば自由主義にもなるが、4畳半に5人寝ることになると、そこにはもう拘束が生ずる。自分は南向きに寝ようと思っても、1人の場合の要にはゆかぬ。
でも、他の4人と同様の向きに我慢して寝なければならぬ。アメリカ、中国、ソ連等のように広い土地、多くのものを持つ国で自由主義も言われようが、日本やイタリア等がいわゆる全体主義的にならざるを得なかったのも無理がないのである。これに同情しないで、悪気地ばかり言っているのはよくないと思う。
.. 2020年07月16日 10:24 No.1984001
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