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2.「COVID−19」に感染したら
新型コロナウイルスはどのように人に害を与えるのか。サイエンス*の 論文からその一部を紹介する。(Science;How does coronavirus kill? Clinicians trace a ferocious rampage through the body,from brain to toes2020年4月17日より) (*サイエンス;1880年に創刊され米科学振興協会=AAASによって発 行されている学術雑誌である。) 死亡した患者のCT画像では、ウイルスは脳からつま先まで、全身にわ たり猛烈な打撃を与えることが分かってきている。この病気は身体の全域 を攻撃し、壊滅的な結果をもたらす可能性がある。 ウイルスを含む飛沫を吸い込むとコロナウイルスが鼻と喉に入る。アン ジオテンシン変換酵素2(ACE2)と呼ばれる細胞表面受容体(レセプ ター)が豊富な鼻腔の細胞から侵入すると考えられている。同様に手など に存在するウイルスも食べ物などから口腔内そして喉に侵入する。 ウイルスは細胞に侵入するために受容体を必要とする。いったん中に入 ると、ウイルスは細胞の自己複製機構を乗っ取り、無数のコピーを作成し、 また新しい細胞に侵入することを繰り返す。 この初期段階で免疫システムがウイルスを破壊しきれない場合、ウイル スは気管を伝って肺を攻撃し、そこで致命的になる可能性がある。 肺の気管支は多数分岐して細くて長い枝状に分かれていき、肺胞と呼ば れる小さな気嚢で終わる。肺胞はそれぞれACE2受容体が豊富な単一層 の細胞で覆われている。 酸素は肺胞から毛細血管、気嚢にある血管に入る。酸素は全身に運ばれる。 しかし、免疫システムが侵入者と戦っている時は、戦い自体がこの酸素 移動を阻害する。 ウイルスと闘う白血球は、ケモカインと呼ばれる炎症性の分子を放出す る。それでウイルスに感染した細胞を標的にして殺す免疫細胞が増え、体 液と死んだ細胞が液体として溜まり出す。これが肺炎の根本的な病理であ る。見られる症状は主に熱、急速で浅い呼吸である。一部の患者はその後 に回復する。
.. 2020年05月31日 07:10 No.1941002
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