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スンニ派大国サウジアラビアを理解するためにも、私達はまずスンニ派の大枠を知っておかないといけません。スンニ派は4つの法学派から成り立っています。まずハナフィー法学派。これはトルコに多いです。次にシャーフィイー法学派。これはインドネシアと、ロシアの北コーカサスにいます。
それからマリーキ法学派で、エジプト、チェニジア、リビアにかけての地域にいます。しかし、この3つは忘れてもいいのです。各社会の習慣や祖先崇拝と適宜折り合いをつけているからです。過激になりにくいからです。過激な運動がでてきるのは、4番目のハンバリー法学派です。これは原理主義そのものです。
コーランとハディースしか法源として認めないのですからお墓に一切価値をおかないし、聖人を認めないのです。アメリカが「オサマ・ビン・ラディンの墓ができるとそこが聖地になる危険性がある」といったことがありますが、彼らの教義からして、あり得ません。墓の何の価値も認めないからです。
このハンバリー派の中のかなり急進的なグループがワッハーブ派です。ただしこれは他称で、自分たちではワッハーブ派とは言いません。サウド王家のサウジアラビアの国数が、これなのです。そしてちょっと乱暴に整理すると、ワッハーブ派の中の最大の過激派で武装集団であるのがアルカイダや「イスラム国」です。
その考え方は、アラーは御一人であり、それに対応して天井の法律も一つ、地上の法律も一つ。したがって、一つの法律を一つの国家カリフ国家が休現して、それを支配するのがカリフ皇帝であるという独特性を狙っている。サウジアラビアも健前はそうです。
ところが、「今のサウジアラビアは何だ。酒を飲んだりしてけしからん」とオサマ・ビン・ラディンたちは非難したわけです。それに対しては「コーランでは葡萄でつくった酒を飲んだらいかんとされているだけだ。ウイスキーを飲んだってかまわない」とか言い訳しています。問題なのは、今、世界的にハンバリー法学派が増える傾向にあることです。
.. 2020年05月26日 07:36 No.1936001
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