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食材はライフラインが止まった状態に応じた備えを | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その346 └──── (地球物理学者)
地震のときにインターネットの検索データを調べると、興味深いこと が分かった。 地震は2018年9月に起きたマグニチュード(M)6.7の北海道胆振 (いぶり)東部地震。最大震度は北海道で初めての7だった。 震源から75キロ以内、つまり震度5弱以上だった地域のデータを 調べた。大都会札幌はこの範囲に入る。
地震発生当日、どんなキーワードでレシピを検索したかという調査 では「ご飯」「鍋」「土鍋でご飯」「白米」「炊き方」というワードが 上位5位を占めていた。北海道全域で大規模停電(ブラックアウト)が 起きて、電気炊飯器が使えなくなったために土鍋などを使ってコメを 炊く方法が検索されたのだろう。
しかし、地震の2日後以降にはレシピの検索ワードの2位に「パン」 がランクインした。1位は「簡単」というワードだった。一方「ご飯」 「白米」などはランク外に落ちた。 これは停電でパンの生産と入荷が止まり、店で品薄になったことと 関係している。 このほか「ベーキングパウダーなし」「ホームベーカリー」 「手捏(こ)ねパン」などのワードも急上昇した。また、「パン」と 合わせて検索されていたワードとしては「フライパン」「牛乳なし」 などだった。 売っているコメは品切れになったし、農家などではコメを玄米として 備蓄している家庭も多く、停電で精米機を動かせなければコメがない のと同じだった。 そのためご飯の代わりにパンを作ろうと考えたのだろう。
じつはパンは卓上カセットコンロさえあればフライパンでできる。 イタリア料理の平たいパン「フォカッチャ」だ。フラットブレッドの 一種である。卓上カセットコンロを持っている家は多く、なかでも アウトドア活動が盛んな北海道ではとくに普及率が高い。 パンはコメに比べて少ない水で作ることができる。コメは、無洗米 は別だが、炊く前に水を使ってとがねばならず、水道が止まって しまうとペットボトルの貴重な水を多量に使って捨てなければ、 つまり「浪費」しなければならない。
.. 2020年05月16日 07:18 No.1929001
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