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陸軍は、朝鮮戦争でアメリカと一緒に戦った経験もあります。それに対して、中国の海軍というのは、15世紀の明の鄭和の大航海の後は、日清戦争の黄海海戦くらいで、歴史的にも実践不足は否めません。中国は航空母鑑をつくっていますが、これを我々は大歓迎しないといけないでしょう。
歴史上、航空母艦を実戦で運用した経験があるのは、アメリカと連合艦隊だけです。中国が所有している空母「遼寧」は、飛行甲板の前が上に反っていますが、搭載機を発信させるカタパルト技術がないからです。
カタパルト技術は、アメリカが秘密にしていて、アメリカとイギリスしかもっていません。だから甲板を反らせて発信させる「スキージャンプ台式」なのですが、戦闘機を海面に落してしまいパイロットが何人も死んでいます。
いまなお巨額のお金とエネルギーを費やして空母を建造していますが、完成するころには無人飛行機が発達していて、第7世代の戦闘機ができるはずですから、航空母艦というのは、単に大きいだけの格好の標的にしかならないでしょう。
ですから、日本として歓迎すべきなのです。吉村昭氏が「戦鑑武蔵」で描いている世界とそっくりな話です。航空母艦の時代になったのに、帝国海軍が戦艦にこだわった、という話です。
1世代前の兵器にこだわって、あれだけのエネルギーをかけて作った挙句の果てに、実戦での成果はほとんど何も上げないまま沈んでいくだけでした。巨大な無駄の歴史を吉村氏は描いたのです。その反復に見えるのです。現代版大艦巨砲主義です。
そういう非合理な精神は怖いのですが、航空母艦自体は全然怖くないです。「遼寧」は、しばらく試験航海した後に港に戻って、それから出てこないです。相当のトラブルが起きたのではないかといわれています。実践にどう使うかという点において、数々のクエスチョンマークがあって、なかなかクリアできないのでしょう。
.. 2020年05月04日 10:11 No.1919001
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