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抜き差しならぬ事態 外出の自粛や移動の制限とか国や自治体からの要請は 個人の自由とバッティングする 保坂和志(作家)
政府が「外出自粛」と言うと、外出したくなる。そもそも私は政府の ことも首相のことも信用していない。政府はこの機に乗じて国民の 従順度を測ってるだけなんじゃないか? だいたい「集まるな」と言ってる側の代表である首相が無意味なほど 人を集めて会議を開いている。
このあいだの3月26日の会議でも、細長い大きな部屋に首相は通達 事項の原稿を丸読みするだけなのに、いっぱい人を集めていた。 首相の両側に左右10人以上、その向井に同じ人数。さらに首相の後の 壁際に椅子だけの人をそれ以上並ばせ、向かいにも全貌はわからないが 2列か3列並ばせていた。(中略) あれは最近のキーワードの〈密閉〉〈密集〉〈密接〉、クラスター 発生の3要件を満たしている。(中略)
ウイルスは首相を嫌いな私にも平等に襲ってくる。外出の自粛とか 移動の制限とか、国や自治体からの要請は個人の自由と バッティングする。 国家よりも個人が優先されると考える人たちは、国が全体主義的 体制に向かうことをつねに警戒している。(後略) (4月6日夕刊5面「じゅんかん記」38 【新型コロナ】より抜粋)
.. 2020年04月07日 09:57 No.1893002
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