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(連載その4) 祝島漁民が漁業権を行使して成果− 上関原発ボーリング調査中断 日本の民衆運動で「権利に基づく闘い」の事例は多くない | 今後に期待 └──── 2020.3.15 (明治学院大学名誉教授)
◎ 昨年12月16日に中国電力が中断を発表して以来、上関原発予定 海域でのボーリング調査は中断されています。祝島漁民が漁業権を 行使した成果です。 漁業権行使により工事等を止めた事例は初めてではありません。 羽田沖埋立、諌早湾導流堤工事、佐伯市大入島埋立等、十数例で 埋立工事等を止めたことがあります。 ダムでも、球磨川で、川辺川ダムを中止に、荒瀬ダムを撤去に、 それぞれ追い込みました(詳しくは『よみがえれ!清流球磨川』 緑風出版2011年を参照)。
「事業者と民の関係」において権利者が権利を行使する手法は、 埋立・ダムにおいてのみならず、他の領域でも有効です。 にもかかわらず、日本の民衆運動で「権利に基づく闘い」の事例は、 決して多くありません。 築地市場の豊洲移転の際、相談を受けて仲卸業者等が営業権を 持つことを指摘しましたが、驚いたことに、それまで卸売市場の 業者に「営業権」の認識は皆無でした。 「営業権に基づく闘い」は一定の成果を挙げつつありますが、 営業の許認可権を行政に握られ、また、営業場所を指定される ためでしょうか、権利者の立上りは今一つの状態が続いています。
築地市場問題への関わりが契機になって、都市計画道路問題にも 関わるよう依頼されました。都市計画道路に指定されたために、 道路拡幅で立退きが強いられ、生活が脅かされる問題です。 この問題でも、驚いたことに、「事業者と民の関係」において 土地所有権等の権利に基づいて闘った事例は皆無に近いことが わかりました。
.. 2020年03月19日 05:46 No.1876001
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