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「隕石ハンター」の一獲千金 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その336 (地球物理学者)
「マーチソン隕石(いんせき)」というものがある。1969年に オーストラリア南部のビクトリア州の小さな村マーチソンに落ちて きた隕石で、掌に載るくらい小さなものだ。 この隕石は酸素やマグネシウムなどが太陽系の平均的な値と違う 同位体組成を持つ。それゆえ、太陽系誕生以前の歴史を記録した 隕石と考えられてきた。 2月に報じられたが、この隕石から直径8マイクロメートルの 小さな宇宙塵が多数検出されて、最古のものは70億年前、多くは 46~49億年前に生まれたものだということが分かった。この宇宙塵は 「プレソーラー粒子」と呼ばれている。
太陽系が作られ、地球や火星が形成されたのは45億年前とされて いるから、それ以前の姿が分かる手がかりになる。 この研究は隕石を粉状に粉砕して、ようやく宇宙塵を見つけ、宇宙線 にさらされた度合いを計測した。宇宙線に長くさらされると新たな 元素が生まれる。その元素の量を調べることで粒子の年代を 推定したのだ。
ところが「隕石を粉状に粉砕」することができない隕石も多い。 それは個人の観賞用だったり、日本では神社の神体だったりする からだ。これらは粉状に粉砕することはもちろん、手を触れること さえもはばかられている。
「隕石ハンター」という商売が成り立っている。たとえば中国・ 上海のC氏は隕石を求めて世界各地を訪れる。彼はロシア、フランス、 サハラ砂漠、さらに中国最西部の新疆で隕石を探し回った。 金属探知機のほか、地図、オフロード車は欠かせない商売道具である。 C氏の目的はもちろん金だ。隕石とされる石がネット上で1グラム あたり5万元(約76万円)もの高値で売られていたし、さらに高い値段 で売れることもあるという。希少価値が高い隕石なら一個で1000万~ 1億1000万円の値が付く。
.. 2020年03月05日 08:49 No.1863001
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