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もう1つは、中電が祝島島民の会清水敏保代表に送ってきた「漁業 補償に係わる回答書」(12月10日付)への反論・質問書(12月12日付) を12月16日着で中電に送付したことです。 回答書では、広島高裁2007年判決に基づき、「2000年補償契約で 今回のボーリング調査も含めた漁業補償をした。その代わりに自由 漁業(釣り漁業)の権利も含め、漁業を営む権利は放棄された」旨の 主張をしてきました。
それに対して、反論・質問書では、主として、 1.漁業補償額は事業の前3~5年間の漁業データを元に算定しな ければならないとされているから、2019年ボーリング調査に伴う補償額を 2000年に算定できたはずはない、 2.補償契約に基づき自由漁業の権利に制約を受けるのは、 2000年当時、当該海域で自由漁業を営んでいた「2000年祝島組合員」 であり、現在、当該海域で自由漁業を営んでいる祝島漁民のほとんどは 「2000年祝島組合員」ではないので、補償契約による制約は全く 受けない、と反論したのでした。
この1.及び2.の論理は、今回のボーリング調査のみならず、 今後の埋立についても全く同様にあてはまるので、中電は埋立も原発 建設も不可能になったのです。 今回明らかになったように、漁業権等の権利者は、本来、事業者 よりも強いのです。頭を下げて頼まなければならないのは事業者 であるにもかかわらず、事業者のほうが強いと思いこまされて「事業を やめてください」などと頭を下げて頼んだりするから、事業者に姿勢を 見透かされ、結局は、文書に印を押したり、補償金の配分を 受け取ったりして力関係が逆転してしまうのです。
権利者が自分の持つ権利を主張し、行使することで事業が中止に なったのは画期的なことで、今後の民衆運動に大きな希望と勇気を 与えてくれるものです。 40年近くにもわたって上関原発計画に苦しめられ続けてきた祝島 島民に「おめでとう」とお伝えするとともに、民衆運動にとっての 大きな成果を勝ち取られたことを共に喜びたいと思います。
.. 2019年12月24日 05:54 No.1820002
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