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■--福島原発刑事裁判無罪判決
++ 山崎久隆 (社長)…879回          

福島原発刑事裁判無罪判決と特重施設の問題はつながっている
 |  第二の福島第一原発事故を阻止できない理由はここにある
 |  (その1)誰が見てもおかしい福島原発刑事裁判無罪判決
 └────(たんぽぽ舎副代表)

 世界でも例のない「3基の原発の同時炉心溶融」を引き起こした福島第
一原発事故。その責任を誰が取るのか。福島原発刑事裁判は強制捜査もさ
れず、身柄も拘束されず、検察が起訴せず、市民が構成員の第五検察審
査会で二度にわたり「起訴相当」と議決しての「強制起訴」でやっと公判
が開かれた。
 そして9月19日判決で、永渕健一裁判長は「被告人を全員無罪」とする
驚くべき判決を下した。問題点はどこにあるのだろうか。

1 避難中の住民死亡認定の誤り

 この裁判は、元東電取締役3名に対して業務上過失致死傷罪に問う裁判
だった。検察官役の弁護士は求刑で禁固5年を求めた。
 論告求刑によれば、勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社
長の3人は、東電の原子力事業を推進してきたが、その中で、2011年3月
11日の東日本太平洋沖地震において何の備えもなく原発を地震と津波によ
り壊滅的破壊に至らしめ、その後に双葉町の双葉病院などから「原子力災
害対策特別措置法」による広域避難を余儀なくされ、避難中または避難後
に少なくても44名の住民を死に至らしめる「業務上過失致死傷罪」に問わ
れる罪を犯した。
 初公判は2017年6月30日、3月12日までの37回の公判を経て結審していた。
 判決では、双葉病院の患者の死亡は認めたものの、それが放射性物質の
拡散により自衛隊も避難活動を繰り返し中断し、治療はおろか水や食料さ
えもないままに放置されていたこと、原発事故により避難も妨げられてい
たことが触れられていない。避難中とその後の死亡には原発事故による放
射性物質の影響があったことが認定されなければ、原子力災害との関係は
見えてこない。意図的に外したと思われる。
.. 2019年12月15日 07:10   No.1814001

++ 山崎久隆 (社長)…880回       
2 津波対策の先送り認定の誤り

 津波対策工事は、東電経営陣により先送りされていた。
 被告は津波対策工事を計画していたにもかかわらず、それを実施しなか
った東電の責任者である。
 2002年7月31日、文科省に置かれた地震調査研究推進本部は、三陸沖か
ら房総沖にかけての長期評価を公表した。それによれば日本海溝沿いで、
今後30年以内にマグニチュード8.2前後の津波地震の発生確率は20%と
評価、それに関し原子力安全・保安院が長期評価に基づき津波の評価計算
を求めた。しかし東電は、それを先送りした。
 さらに保安院は2006年9月に耐震バックチェック(新耐震設計審査指針
に基づき原発の安全性を再評価すること)を求めた。
 ところが2007年7月16日、中越沖地震が発生し柏崎刈羽原発が大被害を
受けて全原発が止まった。そのうえ東電は復旧作業に巨額の費用を費やし、
2年間にわたり赤字に陥った。
 2008年1月に東電が東電設計に委託して行った耐震バックチェック用の
計算を実施した。この結果15.7メートルの津波に襲われることを計算で導
き出し、保安院に報告書を提出した。
 勝俣会長以下の経営陣は、その結果と対策についても担当者から報告さ
れていたのだが、裁判では「説明を受けた記憶はない」などと被告人質問
で証言していた。
 2008年6月には、東電担当者から武藤副社長に津波対策が説明され、15.7
メートルの津波が到達するまでの時間や到達の様子を報告していた。それ
に対して沖合防波堤建設の許認可手続についてや、機器類への対策、津波
被害を低減させる方法の検討を指示するなど、対策を進め始めていたこと
が証言されていたのだが、これは裁判所が認定をしなかった。
 原発事故は、何としても防がなければならないはずだ。ところが永渕裁
判長はそのような認識はなかった。つまり原発委事故の恐ろしさについて
理解がないとしか思えないのである。

.. 2019年12月15日 07:21   No.1814002
++ 山崎久隆 (社長)…881回       
 判決文でも「絶対的安全性の確保までを前提として(規制されて)はい
なかった」などと書いている。しかし本件事故のような「全電源喪失」
「炉心溶融」「原子炉圧力容器破損」「格納容器破損」でヨウ素換算にし
て90万テラベクレル(希ガスを除く。チェルノブイリ原発事故の17%程度)
もの放射性物質の拡散、などという事故が起きる可能性については、国も
事業者も「各種安全対策を施しているため起こりえない」「チェルノブイ
リ原発事故のような事故は日本では起きない」としていたことはみんな知
っている。震災前は「仮想事故」として、およそ起きるとは考えられない
ような事故の想定でも86テラベクレルつまり福島の1万分の1を想定して
いたに過ぎない。

3 伊方最高裁判決違反

 1992年の伊方原発差止訴訟の最高裁判決では、「災害が万が一にも起こ
らないようにするため、原子炉設置許可の段階で十分な審査を行わせる」
と書いている。
 伊方原発は原子炉設置許可処分取消訴訟(行政訴訟)であり、訴訟の性
格は異なるものの、認定事実に違いはないから、原発の事故に関する裁判
所の認定として、今回は大きな誤りを犯している。
 原発の過酷事故は「起こりえる」との判断をした。
 確かに原子力規制委員会は「事故は起こりえるもの」として、新規制基
準において福島第一原発事故の100分の1以下に放出放射線量を抑制するこ
とを目標に新規制基準を決めたが、あたかもこの考え方が事故以前からあ
ったかのように書いている。しかしそんなわけがない。

.. 2019年12月15日 07:41   No.1814003
++ 山崎久隆 (社長)…882回       
 新規制基準はそもそも、「万が一にも起こらないように」すべき過酷事
故を発生させた規制行政と、事業者の不十分な事故対策についての反省か
らスタートしている。言い換えるならば伊方判決に求められていた事故を
防止するための規制と対策が、福島第一原発には実施も採用もされていな
かったことが露呈した。
 「住民が大規模な避難を余儀なくされる事故は起こりえない」。震災前
の安全神話は3・11で脆くも崩壊した。ところが永渕裁判長は、崩壊した
安全神話に対して「絶対的安全性」は規定されていなかったなどという。
言い換えれば、福島第一原発事故のような事故にまで備えよとはされてい
ないと言い出した。もともと「あり得ない」としてきたことを無視したう
えで、起きたことに責任を負わなくて良いならば、およそ裁判の意義など
なくなってしまうだろう。
 これは原発推進を後押しするための判決である。(その2に続く)

  ※「市民の意見」NO.177(2019/12/1)より了承を得て転載

.. 2019年12月15日 07:54   No.1814004
++ 山崎久隆 (社長)…883回       
福島原発刑事裁判無罪判決と特重施設の問題はつながっている
 |  第二の福島第一原発事故を阻止できない理由はここにある
 |  (その2)現在危急の課題となっている
 |  特重施設のない原発再稼働の危険性
 └──── (たんぽぽ舎副代表)
          (その1)は12/14発信【TMM:No3817】に掲載

1.新規制基準審査の問題点

 「新規制基準とは、重大事故を防止するための基準ではなく、重大
事故が起きたらどう対処するか、という基準」(国会事故調査委員会・
田中三彦委員)
 これまでの原発の推進体制では、福島第一原発事故のようなことは
起こらない、起こさない前提だった。これが安全神話を形成するベース
になった。

 新規制基準(原子炉等規制法改正2013年12月)の制定が目指した
のは、大地震や津波などに遭遇しても福島第一原発の100分の1程度の
放出に留めることであり、過酷事故を防止することではない。規制委
も繰り返し「事故を防ぐことが目的ではない」と述べている。

 また、過酷事故発生時には必要になる住民避難、原子力防災体制の
確立については、現行法でも依然として自治体任せであり、規制委は
原子力防災体制には責任を負っていない。
 これでは「福島第一原発事故の教訓に学んだ」とは言えず、市民を
守るためにあるはずの規制は、原子力を推進するために必要な範囲で
実施されているといわざるを得ない。

2.「特定重大事故等対処施設」の設置義務の変遷

 原発などの核事故対策は、福島第一原発事故以後に初めて「原子炉
建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対してその
重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないもの
であること」との規定が設けられ、これを達成するため「特定重大事故
等対処施設」(特重施設)の設置を義務づけた

 特重施設に要求されたのは、
 イ.原子炉冷却材圧力バウンダリの減圧操作機能
   (例えば、緊急時制御室からの原子炉減圧操作設備)
 ロ.炉内の溶融炉心の冷却機能
   (例えば、原子炉内への低圧注水設備)
 ハ.原子炉格納容器下部に落下した溶融炉心の冷却機能
   (例えば、原子炉格納容器下部への注水設備)

.. 2019年12月19日 05:35   No.1814005
++ 山崎久隆 (社長)…884回       
 ニ.格納容器内の冷却・減圧・放射性物質低減機能
   (例えば、格納容器スプレイへの注水設備)
 ホ.原子炉格納容器の過圧破損防止機能
   (例えば、排気筒を経由しない格納容器圧力逃がし装置)
 ヘ.水素爆発による原子炉格納容器の破損防止機能
   (例えば、水素濃度制御設備)
 ホ.サポート機能(例えば、電源設備、計装設備、通信連絡設備)
 ヘ.上記設備の関連機能(例えば、減圧弁、配管等)となっている
   (実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び
    設備の基準に関する規則の解釈より)。

 しかしこれを有して運転をしている原発は一つもない。義務づけて
いたのにどうして存在しないのか。
 それは、設計・施工が困難なので時間が必要として、もともと新規制
基準策定5年後、つまり2018年7月には完成していなければならない
のに、各原子力施設が再稼働を申請し、それが認可され、さらに工事
計画申請が認可された日から5年以内に出来ていれば良いと、規制委が
事業者に便宜を図り規則を変更してしまったからだ。
 ところが今度は、その緩和された規制基準さえ守れない事態となった。
       (その3)へ続く

(「市民の意見」NO.177 2019/12/1発行「市民の意見30の会・東京」
 より了承を得て転載)

.. 2019年12月19日 05:42   No.1814006
++ 冨塚元夫 (部長)…233回       
来年は1月23日(原告2名の主尋問と反対尋問)、
 | そしてついに2月14日鈴木眞一(福島県立医大医師)、
 | 3月4日山下俊一(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)が
 | 法廷に呼び出されることが正式決定!
 | 12月19日子ども脱被ばく裁判第23回期日参加の報告
 └──── (たんぽぽ舎ボランティア)

◎ 午前中は、原告Sさんの本人尋問が行われました。
原告は落ち着いて、しっかりと答えました。
 「原告になった理由は、国と福島県の原発事故後の対応が
信用できず、子どもを守ろうという姿勢がまったくなかったからです。
2011.3.11直後に何が起きたのか、情報は来ませんでした。
安定ヨウ素剤のことも聞きませんでした。『ただちに影響はない』、
というのは20年後には影響が出るのではないかと心配でした。
山下俊一氏の話しを聞いても半信半疑になりました。避難した方が
いいと思って3年間自主避難しました。行政は責任を果たさなかった
ことを認め、反省して、これから子どものために
最善を尽くして欲しい。」
 真剣な原告の主張に対して、被告・国はこれまで見られた意地悪
質問、記憶違いを誘う数字の羅列もあまりありませんでした。

◎ 午後1時30分から専門家証人河野益近さんの証人尋問が
行われました。
 河野益近さんは第21回期日で証人喚問を行った方で、この日は原告
本人尋問と被告反対尋問が行われました。
 河野さんは被告側弁護人も理解しやすいように、ICRP(国際
放射線防護委員会)の2007年勧告に基づいて、LNTモデル(しきい
値なし線形モデル)が最も確からしいと考えられている理論であり、
年間100ミリシーベルト以下でも放射能の影響はあり、特に放射能に
敏感な子どもに対する影響は大きく、被告側が主張するような「安全
サイドに立って」いる仮の論理ではないことを強調した。

.. 2019年12月25日 06:02   No.1814007
++ 冨塚元夫 (部長)…234回       
 放射性セシウムが、福島第一原発事故では、数ミクロン以下の
小さな微粒子に封じこめられた状態で飛散したことが、最近の研究で
わかってきたこと。
 福島県内や東京都の土壌を解析した結果、9割以上が、こうした
「放射性微粒子」だったこと。
 この「放射性微粒子」は、「ホットパーティクル」や「セシウム
ボール」とも呼ばれ、水に溶けない不溶性だということ。
 従来、放射性セシウムは水溶性であることを前提に、体内に入っても
尿として排出されると考えられてきたが、不溶性であれば、体内に
取り込まれた場合、水に溶けないまま体内に残り、高い内部被曝を
引き起こす恐れがあると主張しました。

◎ この日の進行協議では、鈴木眞一氏の証人尋問が2月14日(金)に
決まりました。県は裁判所の要請を何度も拒否してきましたが、
この日はしぶしぶ認めたものです。
 鈴木眞一氏の尋問は、甲状腺がんの実態を明らかにする目的です。
福島県が実施している県民健康影響では、「取らなくても良いがんを
摘出している」との過剰診断を理由に、「被曝との関連性」を否定
しているが、そうならば鈴木氏はやらなくてよい多数の手術をして
いることになります。

◎ 山下俊一氏の尋問はすでに3月4日(水)に決まっております。
 いよいよキーマン2人の尋問が2から3か月後に迫り、来年前半の
結審が予想されます。皆様のさらなる支援をお願いいたします。

.. 2019年12月25日 06:08   No.1814008
++ 阿部功志 (幼稚園生)…3回       
山田修村長、再稼働(東海第二原発)させたいのはなぜ?
 |  中立のはずでは
 |  重大事故は起こらないと主張するが科学的根拠は?
 |  段階的に避難するからうまくいくというがその根拠は?
 |  12月東海村議会で阿部の一般質問6項目
 └────  (茨城県東海村議会議員)

    ・答弁の正確な掲載は間に合わないので、ひとまず質問のみ。

1.東電が原電を支援する。村長の見解は。

 10月に東電など5電力会社が原電を資金支援すると表明した。
 東電は3500億円のうち2200億円を支援する。
 東電は税金を投入されながら、福島の被災者への補償を切り捨て、
 先ゆき不透明な原電を支援する。
 これは企業倫理(りんり)として社会的に許されない。
 山田村長の見解は。

2.本村行政は「原発マネー」に関わる金品の授受、
  飲み食いはあるのか。

 関西電力と高浜町の3億2000万円におよぶ裏金スキャンダルが
社会問題に。
 「こういう話は東海村でも当たり前にあった」と言う世論がある。
 村長、村執行部は原子力事業関係者から「常識の範囲」も含めて
金品の付け届けや飲み食いなどの饗応(きょうおう)はないか。

3.雑誌の対談で村長は再稼働推進を明言したが。

 山田村長は「自分は中立だ」と言うが、原子力業界誌で強固な
推進論を語っている。
 「原発不要論者は自家発電だけで生活してもらう、社会インフラの
電気を使うので自宅から一歩も出てはいけない」と言う。
 原発反対の人を「自分たちの理屈を押し通したい人」と決めつけて
事故を不安に思う災害弱者の村民を差別している。
 重大事故は起こらないと主張するが、科学的根拠は?
 段階的に避難するからうまくいくというが、その根拠は?
 村長の、村民への今後の姿勢は?

4.災害対策として避難所に「仕切り(パーテーション)」の常備を。

 災害での避難所が「体育館に雑魚寝(ざこね)」型では90年前と
変わらない。不便な避難所では行きたくないもの。
 避難所が少しでも苦にならないように、仕切りなどは最低限必要。
 コミセンに常備を。

.. 2019年12月28日 05:29   No.1814009
++ 阿部功志 (幼稚園生)…4回       
5.東海病院が全国の病院再編統合のリストに載った。村の見解は。

 厚生労働省が全国で病院再編統合を進めようとしている。
 東海病院も全国424の病院リストに名前があがった。
 東海病院はどうなってしまうのか。

6.マイナンバーカードを公務員に強制的に作らせるのか。

 国は、政府の意向に逆らいにくい公務員に半ば強制的にマイナンバー
カードを作らせようとしている。
 カードはメリットが小さくリスクが大きいので、普及率は
いまだ14%。国家による国民管理強化のマイナンバー制度は
やめた方がいい。本村職員の実情と取組みは。

 (「あべこうしニュース」号外−原発をなくして安全なふるさとに−
   発行者:阿部功志 2019年12月より了承を得て抜粋)

.. 2019年12月28日 05:35   No.1814010


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